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日本工業経済新聞社(群馬)
2014/11/10

【群馬】県土整備部が来年より社会保険未加入者入札から排除

社会保険の未加入対策として、県県土整備部が来年から建設工事の入札の際、社会保険の加入を参加必須要件とすることが県契約検査課への取材で分かった。1月1日以降に指名通知や公告する案件から実施し、随意契約についても同様の措置を講じる。また、下請け未加入業者に対しても、元請け金額2500万円以上の工事(建築一式工事は4500万円以上)については、入札参加資格申請時などに加入状況を調査している県建設企画課建設業対策室へ通報することとする。
社会保険とは健康保険、厚生年金保険、雇用保険を指す。
今回の施行に向けては、土木事務所長などの発注所属の長や群馬県建設業協会や群馬県電設協会、群馬県交通安全施設業協同組合といった建設関連団体へこのほど通知したところ。
さらに、環境森林部や農政部などの他部局へも参考通知したばかり。
国土交通省では建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保などに向け、2012年11月から建設業許可申請時、経営事項審査時に社会保険などの加入状況を確認・指導しており、県でも同様、所管する建設企画課の建設業対策室が建設業許可申請と経営事項審査を行う建設業者を対象に社会保険未加入の状況を保険料納入証明書の写しなどで確認している。
こういった、いわゆる『入口対策』に加え、県土整備部では、国土交通省からことし5月16日付で出された社会保険未加入対策の検討を進める通知のほか、6月4日に公布・施行された改正品確法においても公共工事の品質確保と中長期的な担い手確保・育成が発注者の責務と規定されたことも踏まえ、公共工事の従事者に対する労働環境の改善に向け、建設業者の社会保険100%加入(社会保険未加入の義務がない者を除く)を目指し、具体的な発注工事についても、入札段階で社会保険の未加入対策を進めることとした。
県土整備部における社会保険の加入状況を入札参加資格者名簿からみると、ことし4月1日時点で、格付けのA等級に位置付けられた延べ1147者は100%の加入率だが、B等級については延べ2190者のうち、1者が未加入で、C等級に関しては延べ3357者のうち、6・5%にあたる219者が未加入となっている。
他方、昨年度に同部から発注された工事でみると、施工体制台帳の提出があった元請けの474件はすべて社会保険に加入していたものの、1次下請けについては、一部未加入も含めて54件の工事で未加入だった。
さらに、2次下請けの活用件数でみると、144件のうち、一部未加入を含めた50件が未加入で、割合にすると、約35%が未加入だったこととなる。
なお、請負金額2500万円以上の工事(建築一式工事は4500万円以上)の一部を下請けへ出す場合、元請けは施工体制台帳の写しを提出することとなっており、その施工体制台帳から社会保険の加入状況を確認した。
同部では、来年度以降も国の動向と施工体制台帳の提出を全公共工事に義務付けた改正入契法の施行(ことし6月4日から1年以内)を踏まえ、来年度からは一定規模の工事を対象に社会保険未加入業者を1次下請け契約の相手方としない仕組みも検討する方針で、また、国土交通省がすでに取り組んでいる◇すべての下請け未加入業者に対する許可行政庁への通報◇社会保険未加入の1次下請けと契約した場合の元請けへの制裁金請求、指名停止、工事成績評定時の減点などの措置の実施−も視野に入れている。
来年1月1日からの施行に向け、所管する契約検査課の島田和也課長は「県としても公共工事の品質確保、中長期的な担い手対策は喫緊の課題であり、発注者の責務と捉えている。社会保険加入率100%の実現を目指し、入札・契約時の加入促進に全力を尽くしたい」と本紙の取材に回答した。