建通新聞社四国
2014/10/17
【愛媛】社会保険未加入者を県工事から排除
愛媛県は、社会保険などの未加入業者を県工事から排除する方針を決め、2015年1月以降に入札公告する案件から適用する。また4月以降は、未加入業者との下請契約(1次下請)をした場合、元請け業者に制裁金を科すとともに、15・16年度の入札参加資格審査申請の要件に追加する。申請要項は11月上旬にも発表し、中旬以降の受け付けとなる。
10日に開かれた「愛媛県建設業審議会(会長・東渕則之松山大学教授)」で、県発注工事に対して社会保険等未加入業者を排除するとともに、元請けとして責任を科す未加入者対策を諮り、承認された。
健康保険・厚生年金保険・雇用保険の社会保険などの未加入は、若年入職者減少の一因となっているほか、法令を遵守して適正に法定福利費を負担する事業者ほど競争上不利になる矛盾が生じている。
国土交通省では14年8月1日以降、直轄工事において元請け業者や下請け業者から社会保険などの未加入業者を排除する指導強化対策を実施する一方、14年5月16日には、全国自治体に向けて同様の取り組みを要請する文書も送付していた。
県では12年度から社会保険などの未加入対策を推進しており周知、啓発を図っていた中、国交省からの要請もあり、未加入者対策を検討し、審議会に諮った。
未加入者の排除では、15年1月以降に入札公告する案件から、入札参加資格に「社会保険等加入」を要件に追加するほか、11月中旬以降から受け付ける「15・16年度の入札参加資格審査」の申請要件に追加し、15年4月以降県発注工事には、未加入者は入札参加できなくなる。
現在の県格付け業者数(県内業者)は1370業者。うち未加入者はD等級の3者のみ。
県発注工事の元請け業者の責務として、下請代金総額が3000万円(建築4500万円)以上の工事について、未加入な下請け業者(1次下請)と契約した場合、下請金額の10%を制裁金として科すほか、入札参加の資格停止、工事成績評定の減点が課せられる。停止期間と減点数は今後、検討される。
現在の県内許可業者数は約5600者。県は、12年度から加入促進を指導しており、8月末現在289者を指導、うち174者が加入。未加入者は110者となっている。
審議会では、委員から「下請け業者を1次下請けに絞る理由」をただされ、県は「2・3次下請けまで元請け者に責任を求めるのは責任を担わせすぎ、無理があるのでは」と説明。また複数の委員から「説明会の開催」を求める声も出た。