北海道建設新聞社
2014/10/16
【北海道】札幌開建が柔構造樋門の標準設計7タイプを年度内に作成
札幌開建が2012年度から策定を進めてきた柔構造樋門の標準設計7タイプが、本年度内にまとまる。老朽化に伴う更新や河川整備の推進により事業量の増加を見込む樋門築造で、断面積別に樋門本体の標準設計を用意して、設計に掛かるコスト縮減や期間の短縮を図る。
1998年以前の樋門は、軟弱地盤上に施工する場合、支持杭を打ち込む剛構造が一般的な工法だった。しかし、支持杭と堤防の土のなじみが悪いと、函体の外側に空洞が生じて漏水するほか、最悪の場合には破堤する恐れがあった。
こうした問題を解消するため、国土技術研究センターが「柔構造樋門設計の手引き」を98年に発刊。軟弱地盤上に樋門を設置する際には、地盤沈下に函体が追随し空洞化を防ぐ柔構造樋門が一般的な工法として定着した。
同開建は今後、経年劣化による樋門の更新需要拡大、河川改修に伴う樋門新設の増加などを見据え、吐き口、のみ口を除いた樋門本体の標準設計を定めることで、コスト削減と設計期間短縮に取り組む。
樋門の内空断面寸法ごとに、AからGまでの7タイプを用意。同タイプの中にはさらに門注の有無、ゲートの形状などで区分を設ける。全てのタイプが完成すると、内空断面が1・8m²から8m²までに対応した標準設計がそろう。
A―Eタイプは12―13年度で既に完成。14年度は函体が2連となる断面6m²のFタイプと同8m²のGタイプの設計業務を、ドーコンに委託している。
既に完成したA―Eタイプの設計図書は、道内の各開建に配布して利用できる環境にある。14年度は今のところ、標準設計を利用した業務の発注予定はないが、15年度以降は、札幌開建をはじめ標準設計を活用していく見通しだ。