トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(群馬)
2014/10/09

【群馬】来年トンネル本体へ 取り付け部整備進む 国道17号三国防災


国土交通省高崎河川国道事務所は、国道17号三国防災事業の進捗状況を説明した。三国峠に新たなトンネルを建設するとともに、みなかみ町永井地区での線形改良や古くなった橋の架け替えなどを行う。新トンネルの建設に向けては現在、取り付け部の整備を進めており、予算が確保できれば、来年度にもトンネル本体を発注し、掘削に向けた準備工に入る見通しだ。
国道17号は群馬と新潟の県境に位置する三国山脈を抜け、両県を結ぶ幹線道路。物流や観光、生活道路などに広く利用されているが、トンネルは築50年以上、橋も老朽化が進む。また、道路法によりガソリンなど危険物を積んだ車が関越自動車道関越トンネルを通ることができないため、この道路が唯一の運搬ルートとなっており、沿線にはスキー場や温泉など観光スポットも多い。
老朽化対策として、同事務所は新トンネルの建設や橋の架け替え、道路改良、除雪ステーションの設置などを盛り込んだ「国道17号三国防災事業」を計画。本年度は12億円余りをこの事業に充てる。
新トンネルは、今のトンネルの西約31mに建設する。延長は1218m。新潟方面へ向かい下り坂とする構造だ。現在は取り付け部の整備中で、同事務所担当者は「予算が確保できれば、来年度には本体の掘削に入る」との見通しを明かす。掘削は新潟側から始め、一気に群馬側まで抜く。地質については「詳しい調査をしてみないと、はっきりしたことは言えないが、しっかりした山という印象は持っている」と話している。
取り付け部の現況は、群馬側が日特建設(東京都中央区)施工で工事用道路を整備。これを受け、抗口付近を流れる法師ノ沢の橋梁整備に入った。橋脚2基を発注し、佐田建設(前橋市)が受注し、架台の建設を進めている。橋はPC3径間連続中空床板橋で橋長72m、地覆部を除く幅員は8・5m。来年度には橋台が発注される見込みで、その進捗をみながら上部の製作・架設を進める。
新潟側については、日特建設が取り付け部法面の1期目の掘削を行い、その後を受けた河本工業(館林市)が2期目の掘削中。来年度は、抗口手前の浅貝川にボックスカルバートを整備する予定。ボックスの大きさは6・4m×10・7mを想定している。
現在の三国トンネルは1959年(昭和34年)の供用後、幾度となく補修工事を実施してきた。漏水対策として数回にわたり覆工を増強したが、その結果、完成時に6mあった道幅は5・5mに減少。天井も低くなりトンネル内の空間は当初と比べかなり狭くなった。
同事務所は安全な通行ができるよう、舗装面を削る盤下げ工事を実施。大型車が通れるだけの天井高を確保した。ただ、それでも大型車のすれ違いは困難で、多くの車は抗口付近で徐行し、トンネル内に車がいないのを確認してから通るようにしている。
三国防災の1つである橋の老朽化対策は進み、ことし4月に開通した白狐橋など3橋の架け替えが終わった。このほか、線形が悪い永井地区の改良についても、8月に第1弾の工事を発注。宮下工業(前橋市)に施工が決まった。改良する区間は全体でL約600m。約12万立方mの盛り土を行い、その上に道路を整備する。盛り土には新三国トンネルの掘削で出た土も使う予定だ。