日本工業経済新聞社(群馬)
2014/10/07
【群馬】桐生市林野火災の復旧計画まとまる
県は、ことし4月に桐生市菱町で発生した林野火災跡地の森林復旧・防災対策計画をまとめた。復旧に向けては治山や砂防事業、植栽などを実施し、防災能力の向上と森林復旧を並行して進めていく。治山事業では現段階のところ、計13基の谷止工を2017年度までに整備する方針で、本年度は2基の工事を発注した。来年度分の工事は林野庁による計画査定を経て、順次着手していく計画だ。
林野火災は4月15日に認知され、5月2日の鎮火まで2週間以上続いた。火災被害面積は桐生市有林143ha、個人有林48haの計191haに及ぶ。7月中旬に発生した1時間雨量38oの豪雨により、3カ所で土砂が流出する事態になっている。
こうした状況を踏まえ、被災地内に10カ所の監視ポイントを設けて土砂流出状況の監視を行っているほか、桐生市と連携して下流住民に対する避難誘導体制強化、林道や河川などの堆積土砂の排土も県と市で実施している。
ただ、こうした応急措置だけでは危険を完全に除去できないため、県では根本的な復旧計画を立てた。一級河川黒川から枝分かれする沢には、谷止工が整備されていない箇所が多くあり、未設置箇所に計13基を整備することとした。このうち緊急性が高い2カ所については本年度中に施工を完了させる。本年度は並行して全体の概略調査を実施し、全体計画をまとめていく。林野庁による全体計画の査定を経て、交付金の交付決定を受けた段階で、来年度から3カ年かけて残る11基の整備に着手する。来年度分の谷止工と並行して、再来年度の施工予定箇所の測量も進める。現段階では谷止工13基を整備する計画となっているが、県森林保全課は「あくまで現段階での計画。状況に応じて対処していく」としており、今後の調査次第では整備基数が増減する可能性もある。総事業費も現段階では未定という。
また、保安林のうち、条件不利地における被害木の伐倒や植栽などの森林整備を5カ年かけて行っていく。さらに、既設の黒川ダム上流に新規砂防ダムを1基建設する計画で、本年度に設計・調査、来年度に工事着手する予定となっている。
被災した森林の再生策としては、森林総合研究所森林農地整備センターの水源林造成事業を活用するなどして植栽を進めていく。条件不利地の森林整備(治山事業)を実施する箇所以外の保安林で、水源林造成事業を活用して19年度まで実施する。また、個人有林で復旧を行う場合は県の支援制度などを活用して再生していく。