日本工業経済新聞社(群馬)
2014/09/25
【群馬】前橋の臨江閣別館大改修 来年度予算計上へ
前橋市は、大手町3丁目にある市指定重要文化財の臨江閣別館の「平成の大修理」計画について、来年度から2カ年で工事に着手することを正式に決めた。当初は、本年度から2カ年で事業を完了する予定だったが、大河ドラマの放送決定に伴い放映期間を避ける形で着手を1年先送りにしていた。本年度当初予算の計上額と15年度の債務負担行為で設定していた予算額を合算すると事業費は約4億円。来年度末から着手し、完成は17年度末を予定している。
大手町3丁目に佇む臨江閣は、県指定重要文化財の本館と茶室、市指定重要文化財の別館の3棟で構成。別館の大修理に向けた設計は、景観建築研究機構(前橋市)が担当した。
別館は耐震性の問題、雨漏り、快適性の追求、臨江閣南側に隣接する前橋公園との一体利用といった課題が挙げられており、これらの解消を目指して改修工事に取り組む。
主工事となる耐震補強では、歴史的景観を損なわないよう耐震壁を設置していく。このほか、別館基礎のかさ上げにも取り組む。また、屋根の全面葺き替えでは、仮設覆屋で屋根全面を覆い、泥を用いた既存の土居葺き屋根から桟瓦葺きへとする予定。
また、冷暖房機を新設し、利用環境を改善する。加えて、別館2階の大広間にある舞台を撤去し、創建当時(1968年)の姿にできるだけ戻す計画だ。
大修理対象の別館は、貴賓館として1910年(明治43年)に建設されたW造2階建て、延べ床面積1001・02u。建物は入り母屋造り、桟瓦葺き、書院風建築で、築後104年が経過しているが、大規模な改修は行われていない。近年では雨漏りが頻発し、躯体構造への影響が懸念されていることに加え、東日本大震災を受け、安全・安心で良好な状態での保存継承を行っていくため、抜本的な施設の保存整備、利用計画を策定し、修理活用事業に着手することとなった。
NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の放送年となる2015年は工事を避け、16年からの着工を予定している。県庁昭和庁舎に大河ドラマ館が16年1月末まで設置されることもあり、来年度当初予算へ事業費を計上するものの、現場に入るのは来年度末のわずかな期間と想定しているため、メーン工事期間は16年度となりそうで、完成も17年度末を見込む。
事業費について、本年度は当初予算に4192万円を計上、15年度の債務負担行為には3億5567万円を設定していた。