北海道建設新聞社
2014/09/22
【北海道】室蘭市が老朽化の公設地方卸売市場再整備へ15年度に方針
室蘭市は、耐震強度不足が判明している公設地方卸売市場の再整備について、早ければ2015年度中に整備方針をまとめる。今のところ、野菜、果実やこれら加工品を扱う青果部の施設は耐震補強で対応し、生鮮水産物と加工品を取り扱う水産物部の施設は現在地の本場内か、分場のある追直漁港に建て替える方向で検討を進めている。
西胆振圏域の青果・水産物を取り扱う同市場は、本場が日の出町2丁目3の1、分場が追直漁港の舟見町1丁目133の29に所在する。本場は1968年竣工で、規模がS一部SRC造、2階、延べ1万2840m²、青果・水産棟などで構成する。分場は76年の建設、SRC造、2階、延べ1465m²の規模で、水産物部の追直卸売場となっている。
12年度に実施した耐震診断では、両施設ともIs値(構造耐震指標)が0・3未満であることが判明。築40年前後が経過した施設は老朽化も著しく、施設の壁にひびが入っているほか、経年劣化により雨漏りも発生し、対策が喫緊の課題となっている。
市場利用者、卸業者、仲買人業者、生産者らで構成する市場運営協議会は13年度、青果部と水産物部それぞれに在り方検討部会を設置。市場の将来像について議論を重ねている。
青果部では、青果物の取扱量が減少傾向で、増加も見込めないことから、費用を抑えることを優先に議論を展開。本場の既存棟に比較的安価な耐震補強を施して、耐震強度を確保する方向でまとまりつつある。
一方、水産物部では、温度・品質管理のため冷凍設備の充実を図るなど、将来を見据えた投資を行う方向で議論が進む。追直漁港に関連施設を移転し産地市場として再整備を図る意見、既存施設の建て替えか耐震補強で、現状機能を維持するという意見が出ている。
開設者の市は、早期に方向性を決めるため、圏域の物流や人口推移、他市場の動向などを基に、移転によるメリットやデメリットなどを整理して、たたき台を本年度中に各部会に提示。15年度中に再整備の方向性を固めたい意向だ。