福島建設工業新聞社
2014/09/18
【福島】大熊町/大川原復興拠点が始動/URが基本計画検討を発注
大熊町が町土復興・再生の第1ステップとして位置付ける「大川原復興拠点整備」が動き出す。町は都市再生機構(UR)と3月に「復興まちづくりの推進に向けた覚書」を交わし、支援・協力体制を構築。6月の基本計画検討に関する協定を経て受委託契約を締結したことから、URが17日付で「大熊町大川原地区整備事業基本計画検討業務」の簡易公募型プロポーザルによる委託者選定手続きを開始した。土地利用や基盤整備に係る計画を今年度内に作成するとともに、並行して施設整備計画の検討も別途進め、27年度の用地取得着手を目指す。
復興拠点整備候補地の大川原地区は、町南端に位置し、直轄除染も25年度に終了している。拠点は常磐自動車道を挟んだ東西約39f(農地)を開発エリアとして、生活に必要な諸機能の配置を計画している。25年度に町が策定した復興まちづくりビジョンでは、東地区に産業・研究エリアと町外者用住宅エリアを配置し、西地区を町民用の住宅エリアと商業・公益施設エリアとする土地利用構想を示した。
今回委託する基本計画検討業務では、同構想をベースとしながら、実際の地形や水路の配置状況など現況調査を踏まえた土地利用計画を作成する。併せて整地、道路、下水道、上水道の各基本計画と年度別工事展開の作成、地質調査も実施する。履行期限は27年2月27日。
町では並行して、土地利用計画に基づく施設整備計画を検討する。
産業・研究エリアには、除染や廃炉関連の研究施設、国・県・企業等の事務所機能の立地を想定。東地区の西側には町役場はじめ、医療・福祉、商業等機能を配置し、住民が生活する上で必要な諸機能を整備。住宅エリアは自力再建向けや復興公営住宅、戸建てや集合住宅など、住民ニーズに応じたタイプを整備し、町内外合わせて約3000人規模の拠点としたい考え。
整備計画確定後、27年度にも復興整備協議会を開き、第1種農地の転用へ向けた農用地利用計画の変更案を諮り、了承が得られ次第、用地取得に着手する見通しだ。復興特区法に基づく同協議会は、県とともに10月初旬に設立する予定。
造成や基盤整備工事は、西地区の産業・研究エリアを先行する計画で、今後の事業進度によっては27年度内着工も想定。工事段階でもURと協定を締結する方針だ。
UR宮城・福島震災復興支援本部が手続きを開始した基本計画検討業務の参加資格は、本県か宮城県に本・支店、営業所所在のUR東日本地区「土木設計」資格登録者。同種または類似の業務実績も必要で、設計共同体での参加も可としている。
参加表明期限は10月1日。技術提案書の提出期限は同14日で、同23日に見積もり合わせを行う。参加者1者以下は手続きを中止し、再公募する。