建通新聞社四国
2014/09/12
【徳島】土砂災害危険箇所の基礎調査を加速
広島県での土砂災害を受け、徳島県は、9月補正予算案に土砂災害計画域などの指定に必要な基礎調査の事業費を追加計上する。規模は2014年度当初予算とほぼ同額の4億2000万円としており、指定に向け同調査を加速させていく考えだ。
徳島県内の土砂災害危険箇所は1万3001カ所あり、8月25日現在、2817区域が土砂災害警戒区域として指定済みとなっている。県は災害時要援護者関連施設がある区域や過去に土砂災害が発生した市町村や人家が5戸以上などの渓流を優先的に砂防や急傾斜などの基礎調査を進めているが、基礎調査の進捗率は3割強程度とあまり進んでいないのが実情だ。このため14年度も引き続き、調査と指定作業を並行して進めている。14年度の基礎調査は、当初予算ベースで1000区域を予定。9月補正予算案でも同数の区域で基礎調査を見込み、今後外注していく考え。
県内の土砂災害危険箇所の内訳は、土石流危険渓流などが2244カ所、地すべり危険箇所が591カ所、急傾斜地崩壊危険箇所などが1万0166カ所となっている。一方、ことし8月25日時点の県内の基礎調査完了区域数は合計で4311区域で、土石流が1053区域、地すべりが317区域、急傾斜地の崩壊が2941区域となっている。
基礎調査では、土砂災害危険箇所を傾斜度や地質、土地利用状況などについて区域単位で調べる。このため必ずしも土砂災害危険箇所数と一致するわけではないが、基礎調査区域数が3割強程度、土砂災害警戒区域などの指定に至っては、06年度の指定開始から2割強程度の進捗率にとどまっている状況だ。
土砂災害計画域の指定状況は基礎調査の進捗に影響を受けることになるが、現在、政府与党内で土砂災害防止法の改正などで区域指定前の調査結果公表も検討されており、県は基礎調査作業を加速化させる一方、危険箇所の周知啓蒙を急ぐことで、土砂災害による人的被害などを未然に防いでいく考えだ。