建通新聞社
2014/09/03
【大阪】国家戦略特区 大丸建替など20案件
大阪府は8月29日、国の国家戦略特区提案募集に対して、5テーマ20案件(再提案含む)を提案した。建設関連では、大丸心斎橋店建て替えに伴う道路上空空間の活用や、BID制度の実現に向けた規制緩和を大阪市と共同で求めた。新規提案では、水素ステーション整備における公共空間の活用などがあった。今後、国の日本経済再生本部に設置されている国家戦略特区ワーキンググループで各提案を検討し、国家戦略特区諮問会議で実施する項目を決定する。決定時期は未定。
大丸心斎橋店の建て替えは、大丸と松坂屋ホールディングスの共同持ち株会社のJ・フロントリテイリング(東京都中央区)が計画しており、周辺にある不動産や商業施設の活用も含めた地区全体の活性化を図る。建て替え規模に延べ床面積約7万平方bを見込み、2017年の着工が予定される。建て替えに当たっては、情報発信機能の強化やインバウンド観光にも焦点を当て、北館(旧そごう)との一体化を検討。南館との間にある道路上空空間を有効活用することで、より効果的な建て替えを目指す。
BID制度は再提案したもの。現行の制度では、エリアマネジメントを行う都市再生整備推進法人が市からの分担金で実施する都市開発事業や公共施設の整備・管理などに対して、所得控除されないなど、法人への税制優遇が整っていない。このため、規制を緩和し公益法人並みの優遇措置が受けられるようにし、より活動しやすい環境を整えることで、まちづくりの新たな担い手として行政の補完的機能を効果的に発揮してもらう狙いがある。うめきた地区への導入を検討している。
水素ステーションは、府域全域を対象に、燃料電池車用の圧縮水素スタンド(ステーション)の整備を進める。水素エネルギー社会実現に向けた取り組みの一環で、燃料電池車の普及拡大を図る。現行の建築基準法、道路法、公園法では、道路などへの整備が不可能となっている。
まちづくり関連では、御堂筋の淀屋橋〜長堀間の沿道を対象に、民間都市再生事業に対する税制特例の面積要件の緩和を提案した。現行の1fを0・5fに引き下げ、都心部の低・未利用地の活用促進につなげる。
このほか、世界最大級の大型蓄電池試験評価施設の整備に伴い、夢洲、咲洲と内陸部を結ぶ海底トンネルの危険物積載車両の禁止・制限の緩和や、国家戦略特区での設備投資減税要件の緩和などが盛り込まれた。