建通新聞社四国
2014/08/29
【高知】台風被害、2年内に本復旧
高知県は8月26日、災害対策本部会議を開き、台風12号と11号災害の復旧に向けた対応と今後のさらなる対策について協議した。被害規模の大きな道路や河川護岸・堤防では災害査定後2年以内の本復旧を目指す。避難指示が継続中の地すべり危険箇所では対策工法を決定した後、応急工事6カ月、本工事2年ほどの工期が必要との見解を示した。(被災箇所・概算被害額は26日現在)
県管理道路では、国道5路線20カ所、県道35路線72カ所の計92カ所が被災。国道439号四万十市伊才原の延長約100b、国道493号北川村小島の延長200bなどで通行止めが続いている。こうした規模の大きな被災箇所では、当面仮橋設置などの応急復旧措置を急ぎ、本復旧については、災害査定の後2年以内に完了させる方針。その他の被災箇所は、災害査定の後2015年度中の本復旧を目指す。
地すべりでは、避難指示が出ている大豊町の2カ所と高知市鏡的淵で、伸縮計による観測とボーリング調査を実施中。この調査を基に対策工法を決める。排水ボーリングなどの応急工事は6カ月、本工事は約2年の工期を見込む。このほか、道路、JR、人家などに影響の恐れがある大豊町東寺内ほか13カ所では、ボーリング調査結果を基に対策工法を決め、アンカー工事などの対策工を早期実施する意向。
土砂災害から人命を守る取り組みとして、土砂災害警戒区域指定のさらなるスピードアップを図る。現在、危険箇所1万8112に対し、6756カ所が土砂災害警戒区域に指定済みだが、15年度から指定に必要となる調査実施箇所を倍増し、16年度から指定を年間2000カ所にスピードアップする方針。
河川では、42河川の流域で浸水被害が発生し、325カ所で河川護岸や堤防が被災。護岸や堤防の復旧は、災害査定を受け、その後2年程度で完了させる。浸水被害をもたらした河川については、再度の災害防止に向け、国や地元自治体と連携し検討も進める。特に被害の大きかった宇治川・天神ヶ谷川(いの町)と日下川・戸梶川(日高村)では治水能力の増強、紅水川(高知市)では陸こうの新設、吉見川(四万十町)では排水ポンプの新設などを検討する。
海岸では、高知海岸の堤防延長200b、穴内漁港海岸の堤防延長152b、離岸堤延長220bほか9海岸が被災。来年の台風シーズンまでの本復旧を目指す。
治山では林地崩壊60カ所、施設災害5カ所などの被害が発生。測量・調査を速やかに行い、順次復旧工事に着手する。市町村管理の林道は111路線、166カ所が被災。治山と林道を合わせた概算被害額は45億5150万円。
漁港は、県管理の安芸漁港で沖防波堤破損4カ所、市管理の穴内漁港で船揚場倒壊、養老漁港で防波堤沈下、吉川漁港で沖防波堤ブロック沈下の被災。概算被害額は3億1500万円。来年の台風シーズンまでには完了できるよう関係機関と連携する。
水道では、大豊町の東豊永簡易水道、四万十町の窪川上水道、四万十市の江川崎簡易水道が断水、応急復旧は完了した。早期に災害査定を受け、本復旧に着手する。
26日時点での公共土木施設災害報告件数は県429件、市町村472件の計901件。土砂災害件数は18市町村の261件。