静岡県建設業審議会(会長・小川雄二郎富士常葉大学非常勤講師)の第11回会合が19日、県庁内で開かれ、県建設産業ビジョンに基づく方策の取り組み状況を審議した。改正品確法など担い手3法の成立、建設産業活性化会議の中間とりまとめなど国の動きを踏まえ、各委員が人材確保、建設産業の育成の課題と方策について意見を出し合った。業界の委員からは、国の施策が次々に打ち出されたことから「国に負けないスピードで静岡県も審議会を通じて、より良い建設業になるようにお願いしたい」と求める意見が出された。また、小川会長は、本年度で委員の任期が終了することから「(建設産業ビジョン策定から6年が経ち)フォローアップとして、これまでの意見を踏まえて一つの結果をまとめる」との方針を示した。
意見交換では、建設工事の需要者側からは、酒井公夫委員(静岡鉄道社長)が「大きくマーケットが変わっている状況の中で、新たな課題を洗い出すことも必要。ただ、問題点が以前と変わっていないとすれば大きな問題だ」と指摘。また、金崎まゆ美委員(県消費者団体連盟副会長)は「県の公共事業を地元の建設業者がなるべく受けられるようにしないといけない。ぜひ、地元を大切にする施策をお願いしたい」と求めた。
建設産業界からは、伊藤孝委員(県建設業協会相談役)が「東日本大震災の発生により復旧現場で重機とオペレーター、ライフラインの重要性がはっきりした」として、建設業者が対応できない災害対応空白地帯が発生することの危険性を訴えた。また、建設産業活性化会議で示された「建設業の総合的な人材確保・育成対策」の具体的メニューに沿って、「静岡県版の活性化会議で進めるのか、国に準じるのか、県として新たな発想でやっていくのか、論議されていくと思う」とするとともに、「今後もフォローアップを続けないといけない」と主張した。
小野徹委員(県中小建設業協会長)は「改正品確法で“発注者責任”という言葉が初めて出た」と評価する一方で、「建設業界は総資本利益率がマイナスであり、身を切っている状況だ。競争があまりにも激しすぎる状況が、賃金が上がらない最大の原因と考える」との現状を訴えた。村林照夫委員(県建設産業団体連合会理事)は、「下請け専門工事業は、体力、気力共に萎えてきて、安全・安心も考えられないくらい状態で、労務職の職人も育っていない。このままでは災害時に動く職人、オペレーターもいなくなる」と厳しい状況への理解を求めた。
学識経験者の丹羽秀夫委員(公認会計士・税理士)は、大規模地震が発生した際に「いち早く啓開し、自衛隊の車両や救援物資を通す準備をする地元建設業者が、プレーヤーとして地域にいてもらわないとならない」として、「土木事務所を核にした県、市町の対策、さらに広域対応、地域企業との共同作業を県として真剣に考えることが必要」と提案した。
(2014/8/22)
建通新聞社 静岡支社