建通新聞社
2014/08/08
【大阪】新たな津波対策全5案 府河川構造物審議会
大阪府都市整備部は、今後の高潮・津波対策の検討に当たり、新たに津波用水門を設置する方法として、現位置での改築や大阪港の入り口に設置する案など全5案をまとめた。事業費は最大規模のもので1000億円以上になるとみられ、有識者らによる河川構造物等審議会で最適な案を絞り込む。現行の三大水門(尻無川、安治川、木津川)はいずれも高潮用に建設されたもので、更新を機に、津波対策の観点も含めた更新方法の検討が必要となっていた。
5案にみる水門の設置数(総幅延長)は、案1となる「現地での改築」で3カ所(244b)、案2となる「現位置の下流側に新水門を設置」で3カ所(436b)を想定。200億〜300億円の事業費を見込む。
案3は、各河口に新水門を配置するものとし、設置数は6カ所。総幅延長は1203b。案4は、大阪湾内に設置する箇所数を最も少なくする配置案で、設置数は2カ所。総幅延長は985b。案5は、大阪港の入り口に設置し、湾広域を津波から守る配置案で、設置数は5カ所。総幅延長は2007bを想定する。案3〜5の事業費は1000億円以上を見込む。
現位置より陸側への設置案については、現行より小規模にできるためコスト面でのメリットはあるが、より内陸部に津波を遡上(そじょう)させることになるため、不適とした。
7月30日に行われた第1回審議会では、水門の種類(検討ケース)として、バイザーゲート、ローラーゲート、セクターゲート、フラップゲート、上昇式セクターゲート、スライドゲート、直立浮上式ゲート、ゴム膜式などが例示された。
府が定めた長寿命化目標では今後36年間のうちに新しい施設を完成させておく必要があるとされ、戸田圭一会長(京都大学大学院教授)はじめ委員らは「津波が来るのは確かなこと。さまざまなケースで費用対効果を算出、比較しながら精査することが必要」などとし、新たな津波対策手法の検討をスタートさせた。