建通新聞社
2014/08/06
【大阪】大深度2案を比較検討 北部地下河川ルート
大阪府都市整備部は、大深度地下を利用して築造する計画の寝屋川北部地下河川の最下流部について、城北取水口〜排水機場までを直線で結ぶルート案と都市計画道路下ルート案の2ケースを比較検討し、事業化を目指す考えだ。今後、土質調査と環境保全調査を実施し、本年度中に地下河川ルートや利用する深さを決定する。7月30日の第1回大阪府河川構造物等審議会(会長・戸田圭一京都大学教授)で計画の概要が示された。
対象区間は、最下流部で未着手の鶴見立坑〜大川沿いの北部排水機場間約4・6`のうち、上面道路の整備が完了している鶴見立坑〜大阪内環状線(国道479号)までの1・1`を除く、大阪内環状線〜北部排水機場までの3・5`となる。これを検討区間とし、直線ルートと都市計画道路下ルートの2案から、最適なルートを絞り込む。
大深度の場合、用地取得の必要がないため、最短距離となる直線ルート案がコスト的には有利になりそうだ。
同審議会では、▽地下河川のルート・構造▽大深度地下(深さ)の特定▽事業施行に伴う環境の保全対策−の3点について、今後、専門部会を設置し検討していく。
専門部会では、構造、事業費、既存施設への影響などを審議。2015年3月には地下河川ルートと深さを決定するほか、地下トンネル(シールド)設計の基本条件を固める。
その後、15年度に長期的な環境保全調査の結果を審議し、同年度末にも環境の保全対策、シールドの設計内容を示す。
寝屋川北部地下河川は、本線部と枝線部からなり、本線部の総延長は寝屋川市讃良から大阪市都島区中野町までの約11`。これまでに暫定供用も含め約4`(古川調節池、北島調節池)が完成。未着手は最下流部のみ。上面道路の整備にめどが付かず事業化への大きな課題となっていた。
大深度地下の利用は「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」に基づくもので、地表から40b以上か、支持地盤から10b以上のいずれか深い方を大深度として使用を認める。
これまでに神戸市水道事業と東京外かく環状道路が認可を受けている。また、リニア中央エクスプレスでは認可に向けた調整が進められており、関西では、(仮称)淀川左岸線延伸部の一部区間で大深度地下の使用が検討されている。大阪府の構造物整備では寝屋川北部地下河川が初となる。