建通新聞社
2014/07/31
【大阪】社保未加入対策直前緊急アンケ 本紙調査
国土交通省は、8月1日以降に入札手続きを開始する直轄工事で、社会保険未加入業者に対する指導監督を強化する。狙いはいわゆる労働3保険の加入促進。これにより技能労働者の処遇を改善し、若年労働者の建設業界への取り込みを図る。こうした国の動きに地方自治体も呼応し始めており、大阪府と大阪市では、4月から独自に対策をスタートさせた。本紙では、緊急webアンケート調査を実施。222自治体中156自治体から回答を得た。大阪府下と阪神エリアを中心に、近畿圏の主要自治体の対策状況を追う。
【近畿2府5県の主要自治体】
「社会保険の未加入対策を実施しているか」の問いに対して、「はい」と答えたのは大阪府、大阪市、神戸市、京都府、京都市、滋賀県、奈良県、奈良市、福井県、福井市、和歌山県の11自治体。大阪府と大阪市では、社会保険の加入を工事案件の入札参加資格要件に設定するとともに、全次数の下請け業者の社会保険の加入状況を確認。未加入の場合、担当行政庁に通報している。
「いいえ」としたのは大津市、和歌山市の2自治体。和歌山市は低入札案件に限って加入状況を確認する対策を講じている。「その他」とした兵庫県は、2016年の入札参加資格審査申請時から社会保険加入を要件とすることを決定済み。
入札参加資格登録者に占める未加入業者数を把握しているのは大阪府、滋賀県、福井県、和歌山県、和歌山市の5自治体。うち加入率100%は滋賀県と福井県の2自治体。残る3自治体は95〜99%だった。
【大阪府下43市町村】
対策を実施しているのは大阪市、堺市、東大阪市、八尾市、松原市の5市、河南町の1町、千早赤阪村の1村の計7自治体(府下自治体の16・2%)。対策内容は「保険加入を工事案件の入札参加条件に設定」「事後審査で保険写しの提出の義務付け」など。
未実施は32自治体。うち14自治体が対策を検討中とし、豊中市と枚方市で入札参加資格の登録要件化が検討されている。
「その他」を選んだのは4自治体。落札業者への周知などを行っていると答えた。
国の対策については、府下の約8割となる34自治体が賛成(一部賛成含む)と回答。理由は「労働条件の改善」「正規雇用の促進」「人材確保につながる」など。一方で、「一人親方で親族が手伝う未加入業者もあり、小規模工事では反対」「小規模事業者への加入対策の難しさ」という意見があった。
入札参加資格登録者に占める社会保険未加入業者数を把握していたのは豊能町、千早赤阪村、泉大津市、高石市、阪南市の5自治体。残る38自治体は把握していないか、無回答だった。
【阪神エリア】
対策を実施していたのは神戸市の1市のみ。尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町の7市1町は未実施。いずれも対策を検討中と答えた。入札参加資格登録者に占める未加入業者数については、いずれの自治体も具体的な数字を示さなかった。
国の対策については、5市1町が賛成と返答。「趣旨は理解できるが、受発注者双方に事務的な負担増となる」「一定の周知、整理期間が必要」などの意見もみられた。