日本工業経済新聞社(群馬)
2014/07/30
【群馬】北関東三県の建設業協会合同会議が開催
33回目となる『群馬・栃木・茨城三県建設業協会合同会議』が29日、渋川市内のホテル木暮で開催された。当日は、各県の協会が持ち寄ったテーマに対して意見交換を行ったが、共通していたのは人材の確保・育成への視点。建設業が魅力ある産業となるためには、賃金体系と休日の充実が不可欠といった認識で一致。そのためには、経営の安定に向けた公共事業量の確保、現場にかかる諸課題の解決などを訴える声が挙がった。
この合同会議は業界の資質向上と技術の研さんのほか、昨今の建設産業が有する諸課題を解決するため、北関東三県が毎年持ち回りで開催している。
意見交換に先立ち、当番県である群馬県建設業協会(以後、群馬県協会)の青柳剛会長は「品確法、入契法、建設業法のいわゆる『担い手3法』の一体的な改正、建設産業活性化会議の中間答申といった行政の動きを受け、これからは『業界側に何ができるか』が問われてくる。そのためには、さまざまな団体活動を三県で連携して行っていくことが大事」と呼びかけ、栃木県建設業協会(以後、栃木県協会)の渡邉勇雄会長は「おのおのが抱える問題を共有し、三県でしっかりと連携を図りたい」と呼応した。
茨城県建設業協会(以後、茨城県協会)の尾曽正人副会長は「東日本大震災では常に地域に密着し、下支えしている建設業の存在が国民に認識された。きょうを契機に、北関東三県のますますの発展と活躍につながれば」と期待した。
来賓には大澤正明群馬県知事、群馬県県土整備部の古橋勉部長、同建設企画課の小此木哲雄課長、国土交通省高崎河川国道事務所の信太啓貴所長が臨席。代表して大澤知事と信太所長が登壇した。大澤知事は「高崎市と板倉町とを結ぶ東毛広域幹線道路が8月31日に全線開通する。この開通によって、三県のさらなる連携強化が図れることを期待する」と祝意を寄せ、信太所長は「国土交通省としても、建設業の役割とその重要性を国民にPRしていく考え」と意気込んだ。
その後、意見交換へと移行。栃木県協会からは、品確法に基づく運用指針の策定について他県協会と情報を共有。これに対し、茨城県協会は「指針の策定にあたっては、発注者が先行することなく、受発注者が意思疎通を図りながら策定することが大事」との見解を口にするとともに、受注者が固定化傾向にある現行の総合評価落札方式の見直しについても言及した。群馬県協会は「(品確法の改正は)業界が長年要望してきた画期的なこと。現場の各種課題が指針に盛り込まれるかどうかが鍵」との考えを示した。
茨城県協会は、道路や河川の維持管理における自県の入札契約方式について、小規模かつ施工箇所が点在するなどしているため、経費の面でも技術者の配置の面でも多大な負担が生じている現状を説明した。これに対し、群馬県協会と栃木県協会は運用状況などは異なるものの、それぞれ協同組合での受注で対応していることを説明。地域に根ざす企業の集合体である協同組合の適切な維持管理の重要性を強調した。
群馬県協会からは『担い手対策の総合的な推進』と『豪雪対策の強化』に関して他県協会へ意見を求めた。このうち『担い手対策の総合的な推進』に対し、栃木県協会は、群馬県協会が以前実施した『外国人材(外国人労働者)活用等に関するアンケート』の設問の中で、担い手対策として国土交通省へ求める施策で上位を占めた調査結果を踏まえ「(群馬県協会が行ったアンケートの)上位を占めた発注量の長期安定化、発注の平準化、設計労務単価のさらなる引き上げは当然、われわれも感じているところ。しっかりと要望していく必要がある」との認識を示し、茨城県協会は「@賃金や休日、社会保険未加入などへの対策A建設業に希望が持てるような将来ある職場形成B将来への不安を解消するための経営の安定化C女性が活躍できる環境づくり−といった4つが必要」と回答し、続けて「建設業を魅力ある職業・職場にするためには、やはり賃金体系と休日を充実させる必要がある。それに対応するには、経営の安定に向けた公共事業量の確保、現場にかかる諸課題の解決が不可欠」と訴え、他県協会も同様の認識で一致した。
意見交換ののち◇来年度当初予算および本年度補正予算における公共事業費の大幅拡大◇改正品確法、改正入契法、改正建設業法の早期具体化◇国土強靭化計画の具体化、必要となる公共事業費の公表◇予定価格の上限拘束性の撤廃◇若年者の建設業への入職促進策の推進◇公共工事設計労務単価の引き上げ◇スライド条項の見直し−といった7項目から構成される決議が審議され、全会一致で採択された。
なお、次回の当番県は栃木県協会に決まった。