日本工業経済新聞社(山梨)
2014/07/30
【山梨】中部横断長坂以北ルート案まとまる
本県にとって長年の懸案だった中部横断自動車道長坂以北区間(長坂〜八千穂。山梨県北杜市〜長野県)の山梨県内のルート案が、今月23日の国土交通省社会資本整備審議会関東地方小委員会で承認された。ルート案は「清里高原の南側を通りつつ、清里へのアクセス性に配慮したルート」。同省では案を正式に決定し、環境影響評価(アセスメント)に向けた調査などを進めていく。山梨県区間の概算事業費は1600億円から1800億円。
長坂以北区間について国交省では、事業の必要性や内容が検証可能となるように「計画段階評価」を導入。ルート案を検討するため社会資本整備審議会の関東地方小委員会にワーキンググループを設置した。
検討にあたっては、土地利用や自然環境、清里地域など観光地へのアクセス性、コスト縮減に配慮するとともに、一般道への連結可能位置についてもアクセス性などに配慮してルート案を設定。計画地域を通る国道141号の改良を求める意見もあったが、清里高原の南側を通るA案、清里高原の南側を通りつつ、よりアクセス性に配慮したB案を設定した。
そして、移動時間の短縮、環境や景観への配慮、災害時の代替路確保などの政策目標に対する評価を行うとともに、現地調査や地元説明会を重ねた。さらに、関係機関や地域団体との協議も進めた。
これらを踏まえ国交省では、ルート案として、「全区間で新たに道路を整備」するとして、B案を採用した。理由として@災害時の代替路の確保などの政策目標の達成が見込まれるA現道の走行性・安全性の向上などの地元住民のニーズにも整合Bルート案の比較や費用の面からB案が適当ーを挙げた。さらに、道路構造などの検討では、環境や景観に十分に配慮した設計・施工とし、地域との丁寧なコミュニケーションを図り、経済性に配慮しつつ積極的に対応していくとした。
また、県や北杜市など関係自治体もB案に同意しており、以上のことを23日の小委員会に諮り、了承された。
今後、同省では案を正式に決定し、環境影響評価(アセスメント)の手続きへ調査などを進めていく。
ルート案が承認されたことについて、本県の横内正明知事は「大変喜ばしく思う。県も地域のさまざまな意見に丁寧に対応し、次の段階である環境影響評価への着手、実施、および整備計画区間への早期格上げについて国へ要望を行ってまいります」と期待を表している。