建通新聞社
2014/07/24
【大阪】川上ダム継続、「大戸川と天ケ瀬はセット」
国土交通省近畿地方整備局の事業評価監視委員会が7月23日に大阪市内で開かれ、検証中3ダムを含む4ダム事業について再評価した。川上ダムと天ケ瀬ダム再開発は「事業を継続」、大戸川ダムと丹生ダムは「新たな段階に入らず、現在の段階(生活再建工事)を継続」することが妥当との対応方針(原案)を同局が提示。いずれも「おおむね適切に進められており、原案の通りでよい」と判断された。
淀川水系前深瀬川に計画される川上ダム(三重県伊賀市)は堤高90b、堤頂長330bの重力式コンクリートダム。総貯水容量は3100万立方b。総事業費約1180億円で、用地取得99%、水没家屋移転100%、付け替え県道工事97%まで完了した。残事業費は約632億円。ダム本体工事(未着手)は約6年の工期が見込まれる。
関係地方公共団体からなる検討の場で、複数の治水対策案の中から「川上ダム建設が最も有利」だと判断。事業評価監視委員会で事業継続の了承を得たことから、今後、対応方針案を固める。
一方、滋賀県長浜市に計画されていた丹生ダムは、関係地方公共団体からなる検討の場で「ダム建設を含む案は有利ではない」と結論付けられた。対応方針が決まれば、滋賀県が姉川・高時川の河川整備計画を固め、河道掘削などの治水対策を担うことになる。
天ケ瀬ダム再開発(京都府宇治市)については、トンネル式放流設備や工事用道路、橋梁架け替えを進めており、2018年度の事業完了に向け継続。
大戸川ダム(大津市)は、堤高67・5b、堤頂長約200bの重力式コンクリートダムで、ダム検証が終了するまでは、準備工事である県道大津信楽線の付け替え工事を継続する。総事業費1080億円程度のうち、既に約658億円を投資。
天ケ瀬ダム集水区域内の上流に建設を予定しており、直接的に天ケ瀬ダムを補完する役割を担う。委員からは「今後の水害に対応していくためにも、大戸川ダムと天ケ瀬ダム再開発の2事業は同時並行で進めるべき」との指摘があった。