北海道建設新聞社
2014/07/16
【北海道】緊急物資の備蓄拠点を石狩湾新港に−国内モデル目指し構想始動
2014年07月16日 07時27分
食料や日用品など災害時の緊急物資を備蓄する拠点を、石狩湾新港に設けようとする構想が動きだした。企業と経済団体、行政機関による「石狩湾新港災害備蓄拠点協議会」が、このほど札幌市内で初会合を開き発足。年内をめどに備蓄拠点や備蓄体制の在り方に関する報告書をまとめ、道など関係機関に提言する方針を固めた。関係者は「今回の検討が全国のモデルとなるよう取り組みたい」と力を入れている。
東日本大震災や大型台風による被害の教訓を踏まえ、全国各地で発生する災害への備えとはどうあるべきか、北海道から発信することを目指し発足した。海上輸送の要所である石狩湾新港には大小さまざまな道路網が結節し、近隣には丘珠空港やヘリポートなど航空輸送に役立つインフラも存在する。札幌にも近く、緊急物資を備蓄しておくには格好の立地であるとの考えが背景にある。
協議会にはホーマック、ツルハといった東日本大震災で実際に被害を受けた企業のほか、北海道エネルギー、北海道エアウォーター、岩田地崎建設、伊藤組土建などが参加。経済団体からは北海道経済連合会と札幌、小樽、石狩の各商工会議所、行政からは北海道開発局、道、陸上自衛隊北部方面総監部などが加わった。
協議会は、緊急物資の備蓄拠点の機能について検討を重ねるほか、被災地で必要となる物資とはどのようなものか、それを効率的に送り届けるためにはどのような体制を構築すべきか考える。
初会合は4日、札幌市内で開催。北大大学院工学研究院の岸邦宏准教授を座長に選出し、11月に2回目、12月に3回目の会合を開く方針を決めた。
2回目の会合では、備蓄拠点整備の在り方を詰める。協議会では、備蓄機能と配送機能を持った施設を同一の敷地内に複数設けることなどを検討しており、どのような機能が最も効果的か考える。
その上で、最終となる3回目の会合で、これまでの検討結果を報告書にまとめ、成案とした上で道に提出する。道は6月、国から国土強靱(きょうじん)化地域計画を策定するモデル地域に選ばれているが、協議会は報告書を提出し、検討内容を同計画に反映するよう求める。
事務局を務める石狩開発(本社・石狩)の清水弘執行役員は「緊急物資の備蓄拠点が全国に5つくらいあれば、災害時の支援体制が格段に増す。今回の検討結果を『石狩モデル』として確立し、全国に広めることができれば」と話している。