668年天智天皇即位の年に越の国から燃える土と燃える水が献上されたという日本書紀の記述にもとづく「燃水祭」が7日、天智天皇を祀る近江神宮(滋賀県大津市)で斉行され、「燃ゆる土」の防水業界、「燃ゆる水」の石油業界の関係者ら多数が参列し、それぞれ業界の発展を祈念した。
毎年、7月1日に「越の国」の新潟県胎内市黒川で開かれる黒川燃水祭で古式に則り原油が採油され、7日(7日が土日の場合は5日)の近江神宮燃水祭で黒川からの使者により奉納、献上される。
祭式では、修祓、宮司一拝、燃水燃土世話人の燭台点灯、越の国黒川臭水遺跡保存会の燃水奉献、近畿2府4県の石油商業組合代表による献灯、宮司祝詞奉上、日本書紀奉唱、女人舞楽原笙会の舞楽「桃李花紫上」4人舞、玉串拝礼と進んだ。
防水関係者では、メインイベントともいえる日本書紀奉唱『天智天皇 七年 秋七月 越国(こしのくに) 燃土(もゆるつち) 燃水(もゆるみず) とを献る』をアスファルトルーフィング工業会(ARK)の猪野瀬正明会長が奉仕したのをはじめ、同工業会の佐々木隆一郎工事部会長、田島ルーフィング椛蜊緕x店の島武之支店長ら15名が玉串拝礼に臨んだ。
日本書紀に記される「燃ゆる土」は過去、石炭や泥炭に見られたことがあったが、ウェブマガジン「ルーフネット」を主宰する森田喜晴氏(日本防水の歴史研究会事務局長)の調査研究により天然瀝青(天然アスファルト)であることが近年明らかにされ、防水業界では天智天皇を防水の「祖神」、燃水祭を防水の起源に関わる祭式として参列が本格化、既に40年以上関わってきた「燃ゆる水」の石油業界と揃って参列するようになった。
式典後の直会(なおらい)の会場となった近江神宮勧学館では、日本書紀の記述を絵画化した「燃土燃水献上図」や文献など貴重な資料が展示された。
24年に日本書紀奉唱を奉仕し、燃水祭世話人を今回務めた潟<Cコウ(滋賀県大津市)の杉本憲央代表取締役会長は、「燃ゆる土の天然アスファルトは防水と深い関わりがあり、燃ゆる水の石油も防水材の原料としての起源ともなる。関連する業界はまだまだあると思う」と話す。 |