日本工業経済新聞社(山梨)
2014/07/02
【山梨】小仏トンネル付近渋滞対策案、車線付加を
本県などで組織する「中央道渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ」は6月30日、小仏トンネル付近(上り線。東京都八王子市〜神奈川県相模原市)および調布付近(上り線)の具体的対策案を示した。小仏トンネル付近では既存の道路を拡幅して付加車線を設置することや視線誘導システムなどの導入を、調布付近では既存幅員の運用見直しや簡易情報板の追加設置などが効果的とした。
小仏トンネル周辺は急峻な山岳地形で、トンネル内の路肩は0・75mと狭い。トンネル付近の上り線に新しい路線を加える場合は、新たなトンネルを整備することが必要になる。
今後は、これらの対策案に基づき、国に速やかな事業化を要望していく。
ワーキンググループは、中央道の高井戸ICから上野原IC間を対象に渋滞対策を検討するために設置。6月30日の第3回会合で対策案が示された。
中日本高速道路梶iNEXCO中日本)によると、小仏トンネル付近の上り線は、主に休日の夕方にトンネルやサグ(上り坂)などの影響で、調布付近は主に平日の朝に調布IC合流部や深大寺バス停付近のサグによる影響で、それぞれ深刻な渋滞が発生している。そのため、渋滞発生を抑制するには、ボトルネック部の交通容量の拡大が効果的と判断し、渋滞対策案を示した。
具体的には、小仏トンネル付近では@現況2車線に付加車線を設置A即効性がある対策として速度回復を促す視線誘導システムの設置―などを挙げた。課題としては、付加車線の設置についてトンネル部は構造的な検討・調整が必要で、事業の実施段階で用地取得や施工に一定の時間が必要になることを挙げた。
会議では、付加車線を設置した事例として、東名高速道路の静岡IC〜焼津IC間の一部で下り線側に新たに3車線のトンネルを整備し、既存の下り2車線を上り線として運用したことを紹介。改築事業によって渋滞が上り線で約8割、下り線で約7割減少したことを示した。
一方、調布付近については、既存幅員(現況は片側2車線)の中で車線運用の見直しによる交通容量を拡大することや速度回復を促す簡易情報板の追加設置などが示された。課題としては、車線運用の見直しで安全対策についての調整が必要とした。
本県では、小仏トンネル付近の渋滞対策を県の再重要課題の一つと位置づけており、これまでも関係機関による渋滞対策促進協議会の設置や要望活動などにより対策の推進を訴えている。
今回、具体的な対策案が示されたことについて本県の横内正明知事は「国交省へ感謝するとともに、大変喜ばしく思っている。今後、国土交通大臣をはじめ国へ早期事業着手について要望を行っていく」とコメント。事業化が進めば中央道の物流や観光などでの効果が期待される。
なお、中央道の渋滞対策としてワーキンググループで出た主な意見では、@圏央道の整備も進むことから、上り小仏トンネルから八王子JCTまでについても渋滞対策の検討を進めてほしいA上り線の対策を検討すべき範囲に三鷹料金所付近の線形が悪い区間も含めてほしい―などがあった。