日本工業経済新聞社(群馬)
2014/06/26
【群馬】国交省の太田昭宏大臣が八ッ場ダムの現地を視察
太田昭宏国土交通大臣は25日、八ッ場ダムの建設地を視察した。当日は、長野原町山村開発センターで大澤正明知事と萩原睦男長野原町長、中澤恒喜東吾妻町長らと意見交換を行い、川原湯地区の打越代替地へ訪れた。八ッ場ダムへの視察は、就任以来初となり現地のようすを丁寧に確認した。
意見交換ではまず、大澤知事が「地元住民は、下流都県の利水と治水のために苦渋の決断をして移転を受け入れた。2010年に前原元大臣が建設中止を表明して以来、地元住民の生活設計が大きく変わり、不安と苦悩の中で今日を迎えた。1日も早い生活再建に努力をしなければならない。地元住民が一番望んでいるのは早期の生活再建。そのためにも、本体工事の早期完成と地域経済の活性化を目的とした上信自動車道のさらなる整備推進をお願いしたい」と要望。
続けて萩原町長は「八ッ場ダムの建設計画は60年以上の長期に渡って進められてきた。国と県、町が協力しての八ッ場ダムの早期完成、地域住民の生活再建事業の推進、そして何よりダムを造ってよかったと思ってもらえるようなまちづくりを進めていくことが、住民に報いる手段。太田大臣の訪問は、町民にとっても大きな勇気と安心につながると思う」と述べた。
最後に中澤町長は「東吾妻町はダム完成にその直下地域となり、活性化と振興が大きな課題。活性化の施策として吾妻峡と天狗の湯、ふれあい公園で道の駅あがつま峡の設立に向けて動いている。早めの対応をお願いしたい」と話した。
その後、太田大臣は「ダム本体の着工が近くに控えており、長く続くダム事業の中で大きな区切りとなると思う。地域住民には苦渋の決断をしてもらった。流域都県にとって利水と治水の両面で大きな恩恵をもたらすが、これまでの経緯で不安にさせてしまい申し訳ない。これからは本体工事の着手と生活再建事業の両面で丁寧に対応し、合意を得られるように進めていきたい。工事を確実に進めていき、少しでも早く完成させるとともに、生活再建でも将来を見通せる生活設計ができるように全力で取り組んでいく」と意気込んだ。
現地視察では、温泉街の移転が進む打越地区を訪問。これまでの進捗状況などを確かめた。
その後に行われた記者会見で太田大臣は「今後のスケジュールを地域住民に示し、安心してもらいながら事業を進めていく」と今後の取り組みについて話した。また、本体の完成を予定している19年度からの前倒しは計画しているかという質問に対しては「まずは当初の計画通り進めていき現場の状況を見てからとなるが、少しでも早い完成を望んでいる」と返答した。