日本工業経済新聞社(群馬)
2014/05/27
【群馬】9ため池で耐震性調査
県農村整備課は、本年度に実施する、ため池耐震性調査の概要をまとめた。大規模なため池を対象とする県営調査では、新たに寺沢貯水池、上之原、黒髪、阿左美東貯水池−の4地区にある4つのため池、市町村が実施する団体営調査では高崎2地区にある5つのため池を対象に耐震性などを調査する。調査検証した結果、対策工事が必要と認められた場合は県が計画的に実施していく予定。
ため池の耐震性調査は、東日本大震災の際に福島県須賀川市にある藤沼貯水池が決壊して、下流域の家屋損壊や農地流出を含め、死者と行方不明者計8人を出す甚大な被害をもたらした事例を踏まえて推進しているもの。2012年度に国が事業費の100%を補助し、ため池や農業水利施設の耐震性の検証を行える「震災対策農業水利施設整備事業」を制度拡充。昨年度から県と市町村が県内594カ所のため池を対象に一斉点検を実施し、「警戒すべきため池」に堤高10m以上かつ貯水容量10万立方m以上の「大規模ため池」18カ所、周辺に家屋や幹線道路など保全すべき施設があるため池110カ所を位置づけた。警戒すべきため池のうち大規模ため池は県営(うち3カ所は国営)、それ以外のため池は団体営でそれぞれ耐震性を調査していく。
昨年度は「震災対策農業水利施設整備事業」を活用し、県営の大規模ため池5カ所(鳴沢貯水池、大谷・牛秣、早川貯水池、茂沢)、団体営の警戒すべきため池21カ所で点検を実施した。点検結果は現段階でまとまっていないが、対策工事が必要な場合は県が実施する予定。
本年度から新たに県営で◇寺沢貯水池(前橋市、本年度事業費1500万円、総事業費3000万円)◇上之原(吉岡町、本年度事業費1500万円、総事業費3000万円)◇黒髪(榛東村、本年度事業費1050万円、総事業費2500万円)◇阿左美東貯水池(みどり市、本年度事業費1200万円、総事業費3100万円)−の4地区・4カ所で調査を推進。団体営では高崎市内にある◇浜川ため池◇弁才ため池◇松原貯水池◇穂積ため池◇万松寺ため池−の5カ所で調査を実施する。本年度事業費は1750万円を見込んでいる。
15年度は県営で◇富入沢(前橋市)◇乾谷地沼(前橋市)◇吉沼(前橋市)◇新沼(前橋市)◇鈴峰貯水池(高崎市)◇桃泉貯水池(榛東村)−の6カ所の大規模ため池を調査する。国が造成した◇竹沼貯水池(藤岡市)◇大塩貯水池(富岡市)◇丹生貯水池(富岡市)−の3カ所は国が直接調査する。
一方、警戒すべきため池は中部農業事務所管内に36カ所、渋川農村整備センター管内に12カ所、西部農業事務所管内に33カ所、利根沼田農業事務所管内に8カ所、東部農業事務所管内に39カ所ある。
このうち、本年度までに26カ所での調査が完了することとなり、残りも順次着手していく。数が多く、耐震性調査に期間を要することから、ハード対策と並行しハザードマップ作成というソフト対策も講じていく。なお、吾妻農業事務所管内と館林農村整備センター管内に該当するため池はない。