北海道建設新聞社
2014/05/23
【北海道】旭川市が公立大設置の可能性を検証へ−7月に有識者で懇談会
旭川市は、7月に地域の高等教育を考える懇談会を設置し、有識者による議論を通じて大学新設に向けた課題を検証する。東海大旭川キャンパスの閉鎖を受け、高等教育機関の役割や公立大学設置の可能性などに関する意見を収集。年内に方向性をまとめ、今後の政策判断の材料にする。
市内では、約40年にわたり木工や家具、デザイン分野で人材を輩出してきた東海大旭川キャンパスが3月で事実上の閉鎖となった。少子高齢化が進む中、大学閉鎖は若手人口減少の一因につながるなど、さまざまな影響が懸念されている。
このため市は昨年から、市内高校生の意識調査や高等教育機関の経営者からの聞き取りで高等教育の役割や大学設置の課題を調査し、3月に報告書をまとめた。
報告書では、大学など高等教育機関は人材育成や知的活動支援、若者確保など社会的役割が大きく、産業と連携した研究開発や学生、教員、学校運営上の消費など地域の経済波及も見込めるとした。
一方、大学新設に向けた課題として@初期投資の後年度負担A運営費B学生確保C教員確保D地域内人材需要E他大学との関係F設置ビジョンG設置主題―の8項目を挙げた。
校舎建設など初期投資には100億円以上必要とし、運営費の捻出や優秀な学生、教員の確保も重要課題となる。加えて、こうした課題を乗り越えて大学を設立する建学ビジョンの確立と、市民理解が欠かせないとした。
16日の市議会総務常任委では、少子化で優秀な学生確保が難しくなる中、大学運営の先行きは厳しいとして、委員から慎重な議論や判断を求める指摘があった。
今後、市は懇談会で専門的・客観的見地から議論してもらう考え。メンバーは教育関係者や経済関係者、学生の保護者、行政関係者ら。月1―2回会合を開き、年内に課題に対する意見をまとめる。
東海大旭川キャンパスが学生募集を停止して以後、公立ものづくり大設置を求める市民運動が起き、昨年2月には私立旭川大が市に対し、公立大設置検討時に協議するよう要望書を提出している。