建通新聞社四国
2014/05/20
【徳島】鳴門海峡潮流発電の大規模実用化は困難
徳島県企業局は15日、2013年度に実施した鳴門海峡周辺海域における潮流発電開発の可能性や課題などを調査する「未来の自然エネルギー活用基礎調査」の結果を公表した。総エネルギーポテンシャル(量)は4ギガh(400万`h)と非常に高いレベルと評価する一方で、国立公園区域の指定を受けている点や潮流発電装置がまだ研究開発段階にある点など、多くの課題があり、現時点では大規模発電の実用化は困難と結論付けた。しかしながら小規模な潮流発電に向けた実証実験については可能性を見出しており、今後の取り組みが注目される。
同調査は、今後の民間企業や国などにおける潮流発電の実証実験と実用化に向けた研究開発の一助とするため、県企業局が徳島大学に調査を委託。鳴門海峡周辺海域における潮流発電開発の可能性や課題などをとりまとめたもの。海峡部周辺の速い潮流を持つエリアを含んでいること、実測値が与えられている点が多いこと―などの理由から、大鳴門橋を中心に縦幅(南北)7・5`、横幅(東西)5・5`の長方形の区域で最大流速データなどを収集し、エネルギー賦課量などを算出した。
その結果、調査エリアでは、エリア全体の総エネルギーポテンシャル量が400万`h、評価エリア内の分割領域における最大値(海峡部南側の500b×500bの範囲)が260メガh(26万`h)となった。また、海峡部分の潮流エネルギー密度は、潮流発電エネルギーポテンシャルが高いとされる来島海峡の2倍以上(1平方b当たり約3・8`h)が見込まれ、この点からも鳴門海峡周辺の潮流発電エネルギーポテンシャルが高いことが分かった。
一方、同エリアは、国立公園区域の指定、1日約350隻の航行船舶、沿岸部の漁業権設定があり、これらの課題をクリアする必要があるほか、潮流発電装置は研究開発段階で技術面やコスト面での課題もあり、高効率の発電装置など新たな技術開発が今後必要としている。
調査では、大規模な潮流発電の実用化は現時点で困難としたが、小規模な潮流発電に向けた実証実験については可能性のを残した。また、国は14年度から、国内での導入に向けた潮流発電技術と発電システムを確立する技術開発などの取組みに着手しており、今後の技術開発に期待したいと結論付けた。
県企業局では、この調査結果を局ホームページに掲載している