日本工業経済新聞社(群馬)
2014/04/08
【群馬】予定価格事後公表へ 7月入札案件から
富岡市は7月以降に実施する入札から予定価格を事後公表とする方針を固めた。落札率が高止まりしていることを受け、入札の透明性や競争性を高めるのが狙い。工事案件のほか測量や設計などの委託業務、物品購入など入札全般を対象とする。予定価格を事後公表とすることで、応札者の見積もり意欲の向上を目指す。
県内12市で平均落札率トップの富岡市が、入札制度を一部改正する。これまで一般競争入札では予定価格を事後公表としていたが、それを7月以降指名競争入札にも広げ、入札の透明性と競争性の向上を目指す。
昨年度の群馬県発注者協議会で公表されたデータによると、2012年度における富岡市の工事発注件数は113件で、平均落札率は97・1%だった。2位の渋川市(95・3%)とは1・8%の差がある。
市は落札率が高止まりしている要因の1つに「詳細な見積もりによる入札価格の算出」が行われていない可能性を挙げる。現在は予定価格を入札前に公表するため、予定価格に近い金額で入札すれば、落札の可否は別としても失格にはならず、入札自体は成立する。このため詳細な見積もりをせず、予定価格を基にした単純計算で入札価格を決めることもできた。
市が予定価格を事後公表とするのは、細かな経費の積み上げによる適正な入札価格の算出を促すため。その結果として、平均落札率が下がることを期待する。入札の結果、予定価格を超えるか最低制限価格を下回れば失格となるが、仮に参加者全員が失格した場合は、再入札となる。再入札では指名業者は再選定される。
12市で予定価格を事後公表としているのは、前橋、沼田、渋川、藤岡、安中の5市。このうち沼田では12年度、最低制限価格を下回り失格した件数が89件、渋川では21件に上るが、富岡は0件。この数字についても、落札率と同様、制度改正後の動向が注目される。