日本工業経済新聞社(群馬)
2014/03/25
【群馬】県契約検査課が総合評価の下請活用で改正
県内下請企業の育成などを目的に、県契約検査課が新年度から総合評価落札方式の下請活用に関する評価基準を改正することが分かった。元請企業の施工率が80%以上、または100万円以上の県内下請契約合計が下請契約合計の80%以上だった場合に満点の1点を付与する形となる。併せて、資金繰りを支援するため、中間前金払制度の対象を50万円以上に引き下げる。いずれも4月1日以降に入札公告などを行う県発注建設工事が対象となる。
この改正に関しては25日、全庁の建設工事発注所属長などへ通知したばかり。
総合評価落札方式における評価基準のうち、県内企業の下請活用については現在、完全自社施工または全下請契約が100万円以上かつ県内企業であることに限り満点の1点付与しているが、今回の改正では元請の施工率が80%以上だった場合に満点の1点を評価するほか、元請の施工率が80%未満であったとしても、100万円以上の県内下請契約合計が下請契約合計の80%以上だった場合も1点を付与されることとなる。現行、下請契約に100万円未満の工事があった場合は満点となる1点が与えられなかったが、改正後は下請の一部が100万円未満の工事があったとしても、100万円以上の下請工事の県内企業活用率が80%以上であれば満点の1点が付与される仕組み。50%以上の0・5点付与、50%未満の加点なしは改正後も変わらない。
例えば、元請3000万円の契約に対して1000万円を下請契約とした場合、現行ではその1000万円の下請契約それぞれが必ず100万円以上でなければならず、またすべてが県内企業の下請でなければ満点の1点を獲得することができなかった。確かに、工事内容によっては交通誘導など100万円未満の県内下請の頻度が高いケースも多く、満点を取得できる可能性が低いとの指摘があることも事実。また、所管する契約検査課によると、設計変更などによって施工中に県外下請が必要となり、当初の下請活用計画と相違が生じたことによる工事成績評定でのペナルティ(8点減)を避けるため、評価資料に0点または0・5点で提出する企業も多くみられるという。
しかし、改正後は元請の施工率を80点以上にすることで引き続き、自社施工率の高い県内元請企業を評価することができ、また80%以上の県内下請契約へも満点を付与することで、100万円未満の県内下請活用度の高い企業も適正に評価されることとなる。
同課の島田和也課長は、本紙の取材に対し「今回の改正は直営力の向上と県内下請企業の育成を目的としており、自社施工の割合と下請活用の割合を適正に評価できる」と回答した。
一方、中間前金払制度の改正は建設業の資金繰り支援を拡大するため、現在の『請負代金額150万円以上、かつ予定工期90日以上』としている適用対象を、予定工期を制限せず、また請負代金額も地方自治法および群馬県財務規則に定める前金払制度適用最低請負代金額の50万円以上にまで引き下げる。2分の1以上の工期経過などの支払い条件は、これまでと変わらない。島田課長は「適用要件を拡充することで、経済の好循環に資するとともに、建設業の資金繰りが図られれば」と話している。