建通新聞社
2014/03/20
【大阪】津波浸水対策5年100億 大阪市交通局
大阪市交通局は、2014〜18年度の5カ年に約100億円を投じ、所管施設の津波浸水対策を実施する。主な対策箇所は地下駅、地下トンネルの出入り口、換気口、変電所。また、浸水範囲にある路線の変電所に大容量蓄電池を新たに設置し、電気供給が途絶えても列車が運行できるようにする。14年度の当初予算では関連事業費22億0348万円を計上した。
地下駅の出入り口は、既存の浸水防止設備で対応できないエレベーターなど146カ所が対象。駅では大正、北加賀屋、住之江公園の優先度が高いとされ、駅舎の改造を検討中。14年度から順次設計に着手し、早ければ同年度中にまとまった部分から工事を発注する。
地下トンネルの出入り口は、御堂筋線の中津駅〜西中島南方駅間、中央線の阿波座駅〜九条駅間、大阪港駅〜コスモスクエア駅間の3カ所。
トンネルが地上に出るところの開口部について、周囲の壁の嵩上げや鉄扉の設置などを検討。新年度上半期にも設計に着手し、下半期の工事発注を予定している。
換気口は12カ所。変電所は御堂筋線の中津変電所と中央線の大阪港変電所の2カ所を予定。ともに止水鉄扉やパネル設置、窓枠の水密性向上、閉塞(へいそく)などによる対策を検討する。
変電所への大容量蓄電池設備の設置については、新年度早々に調査検討業務を委託。浸水範囲にあるとされる7路線の変電所全50カ所で優先順位を固め、15年度以降の設計・工事を目指す。
南海トラフ巨大地震の被害想定では、地下鉄8路線のうち堺筋線を除く7路線が浸水範囲にあり、中でも四つ橋線はほぼ全駅が浸水するとされた。担当者は「全域が浸水範囲となる四つ橋線か利用者の多い御堂筋線のどちらを優先するのか、検討を急ぎたい」と話す。