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福島建設工業新聞社
2014/03/14

【福島】東京電力/環境アセスに着手/世界最新鋭の石炭火発2基

 東京電力は、世界最新鋭の石炭火力発電所プロジェクトとして、広野火力発電所と常磐共同火力勿来発電所に「50万`h(KW)級石炭ガス化複合発電(IGCC)設備」各1基の建設を計画。2020年代初頭の運転開始を目指し、2月に環境アセスメントに着手した。環境アセス期間の大幅な迅速化へ向けて国や県などにも協力を求めており、平成28年度内に主機建設に着工、少なくとも1基は32年東京オリンピック・パラリンピックまでの竣工を目指す方針だ。
 同社は、24年11月に公表した「再生への経営方針」で、福島の復興に向けた取り組みの進化を主要アクションプランの一つとして掲げ、経済復興や雇用の回復・創出につながる事業として、同プロジェクトの検討を開始した。世界に先立ち世界最新鋭の石炭火力発電所を建設・運用することで、本県の復興や日本の経済成長に寄与。技術の海外展開で、福島県をわが国が誇るクリーンコール技術の発信地として、世界にアピールしたいとの思いを込めている。25年12月27日に公表した新・総合特別事業計画にも建設計画を盛り込んだ。
 計画しているIGCCは、石炭をガス化して利用する発電方式で、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせて発電することにより、従来の石炭火力発電より高い熱効率で発電することが可能となる。今回の計画・実証で性能や信頼性等が確保されれば、短中期で実用化が確実となり、商用化が加速すれば大容量化・高効率化により、電気料金や二酸化炭素排出量の低減が期待できるほか、低品位炭の活用、インフラ輸出にもつながる見通し。
 32年の東京五輪までに最低1基の運転開始を実現するためには、三位一体の協力で環境アセス期間の大幅な迅速化が必要とし、2月に配慮書の作成に着手した。現地調査も約1年前倒しし、26年度から実施する計画で、方法書の作成にも着手する予定だ。国や県には審査の迅速化などを求め、一般的な環境アセス期間51・5カ月を32カ月に短縮し、28年度半ばまでに終了させたい考えだ。佐藤知事は同プロジェクトの公表後、歓迎の意を示すとともに「計画の早期実現に向け、国や関係機関にはスピード感を持った対応を期待する。県としても協力していきたい」と述べている。
 見込み通りに環境アセスが進捗すれば、28年度半ばから主機建設などに着工し、32年7月前に運転開始したいとしている。
 建設最盛期には、両地点で1日当たり最大2000人の雇用を見込んでいるほか、環境アセスから建設、数十年の運転期間を通した経済波及効果は、1基当たり800億円程度と見込んでいる。
 25万KW級の開発については、旧クリーンコールパワー研究所(現常磐共同火力勿来発電所10号機)で実証試験を終了し、25年4月から商用に転用。7月からほぼ100%出力で運転しており、11月12日にはIGCCの連続運転世界最長記録3287時間を更新した。