日本工業経済新聞社(群馬)
2014/03/07
【群馬】恒例の県県土整備部人事予想 古橋部長誕生か
3月に入り、本紙恒例の県県土整備部人事予想の時期がやってきた。ことしは福田和明県土整備部長らが定年退職する予定だが、何と言っても注目は福田部長の後任人事。部長ポストには途中交代を抜きにし、久しく生え抜きが就任しておらず、国土交通省からの出向組が来るか来ないかがポイントとなるが、本紙では生え抜きと読んだ上、道路整備課の古橋勉課長を予想したい。また、ナンバー2である技監には建設企画課の倉嶋敬明課長を有力視する。なお、3月末で定年退職する建築住宅行政トップの佐藤義則建築住宅課長の後任には、住宅政策室の金井宏道室長が濃厚だ。
本紙が独自に調べたところ、本年度末の定年退職予定者は◇福田県土整備部長◇東部県民局の木田仁局長◇砂防課の中村達課長◇前橋土木事務所の荒巻清一所長◇伊勢崎土木事務所の都丸一利所長◇高崎土木事務所の須田英雄副所長◇八ッ場ダム水源地域対策事務所の佐藤勉副所長◇下水道総合事務所の太田稔副所長◇沼田土木事務所の林守次長◇富岡土木事務所の田口一明補佐−の技術系土木職員10名のほか、建築住宅課の佐藤義則課長も退職する。
人事予想の前に、前提条件に据えるべき点がいくつかある。それは県土整備部長の生え抜き登用、新設される振興局長ポストの存在、現在は空席となっている技監の処遇の3点。
県土整備部長職については、途中交代は抜きにし、ここしばらく国土交通省のキャリア組の指定席となってきたが、新年度に関してはどうも生え抜きが就きそうだ。前・県土整備部長の笹森秀樹氏が国へ復帰したのちの定例記者会見で、大澤正明知事は「士気の問題もあるため、できるだけ県職員の登用を図っていきたい」との見解を示した。
その言葉通りに受け止めれば、新年度は生え抜き部長の誕生に期待が持てそう。そのため、本紙では今回の予想に際し、生え抜きの部長就任を前提とする。
また、新年度は県内にある5つの県民局が廃止され、地域の実情に応じた地域振興事業の強化を目的とした7つの振興局(北群馬渋川、多野藤岡、甘楽富岡、吾妻、利根沼田、桐生みどり、邑楽館林)が新たに設置される予定で、そのトップには振興局長が就く。中核市と特例市のある前橋、高崎、伊勢崎、太田それぞれの地域へは振興局が設置されない。
本紙が独自に入手した情報によれば、7つの振興局のうち、吾妻と利根沼田は単独の振興局長が就任するそうで、これら以外の5振興局については、行政県税事務所長が振興局長とを兼ねるという。そこで、この振興局長ポストだが、県土整備部からの着席は残念ながら難しいというのが本紙の予想。事務系職員のポストも年々少なくなっており、事務系職員にとって新設される振興局長職は是が非でも獲得したいはず。本紙では、振興局長が獲れなかったと仮定して人事を予想する。
最後の技監ポストだが、新年度も組織上では残されたものの、そこへ人員が充てられるかどうかは、いまだ流動的な状況にあるようす。ただ、技監は県土整備部のナンバー2であり、県土整備部長の右腕でもある。県民の安全・安心、県内経済の活性化はもちろんのこと、危機管理の点では東日本大震災などを踏まえたインフラの強化、さらには2月豪雪での昼夜を問わない除雪作業など、改めて建設業の重要性が再認識されたところ。また、若手技術者不足による建設業界の先行きにも大きな不安を残す中、技監ポストに人員を充てないというのもいかがなものか。本紙では技監という重責を踏まえ、人員を充てた上で予想を展開する。
まず、県土整備部長には残り1年であるものの、道路整備課の古橋勉課長を予想する。筆頭課である監理課の次長職、館林土木事務所長、建設政策室長(現在の建設企画課長)、八ッ場ダム建設事業を指揮する特定ダム対策課長、大澤知事の最重要施策の1つ『7つの交通軸構想』を所管する道路整備課長と数々の要職を歴任してきた県土整備部のエース。退職まで残り1年という点が気になるところだが、エースを持ってくるのは当然と言えよう。
ナンバー2の技監だが、『はばたけ群馬・県土整備プラン』の見直しを手がけ、高い行政手腕を持つ倉嶋課長が筆頭。業界からの評判も高く、どう考えても倉嶋課長以外に適任はいないと考える。
その倉嶋課長の後任には都市計画課の中島聡課長を予想したいところだが、旧高崎競馬場跡地へのコンベンション施設建設に伴う各種まちづくり施策なども控えており、課長職丸2年を迎えるものの、都市計画課長として引き続き手腕を発揮する可能性が高い。そのため、本紙は太田土木事務所の小此木哲雄所長を充てたい。
なお、建設企画課にある建設業係は新年度から建設業対策室へと格上げされるが、入札参加資格審査や建設業の経営に関する支援業務などを担うため、室長には事務系職員が適任と思われる。現在は事務系の坂庭秀建設業対策主監が就いているが、異動がなければ、坂庭主監がそのまま室長に就任する可能性が高い。
契約検査課は、現在の島田和也課長の続投が濃厚。新年度からは県民局にいる検査員が集まり、総勢30人以上となる大所帯の課。他部局の職員も多く在籍する課だけに緻密な調査・分析を得意とし、人望も厚い島田課長の留任は固いと思われる。
道路管理課の依田哲太課長だが、出先事務所長として出る公算が大きい。行き先は高崎土木事務所長を予想する。現在の前橋康裕所長は、所長会の会長である前橋土木事務所長への栄転となりそう。依田課長の後任だが、桐生土木事務所の山口修所長あたりはどうか。
幹線道路の新設・改良を所管し『7つの交通軸構想』の早期実現を主に担う道路整備課長には、八ッ場ダム水源地域対策事務所の上原幸彦所長を予想する。上原所長は職員のプレゼンテーション能力を高めるため、事務所独自で『係別事業説明会』を開くなどし、県庁内外での評価はうなぎ上りにある。
課内室である道路企画室の大竹哲也室長は留任が濃厚だが、安中土木事務所の次長経験を有するため、安中土木事務所長で出る可能性も。その際は、県警本部交通規制課の村田知宏管理官(施設・規制担当)といった選択肢もありそう。
河川課の荒井唯課長と特定ダム対策課の清野哲哉課長は、それぞれ課長職丸2年を迎えるが、職務の重要性から留任とみる。特定ダム対策課の生活再建対策主監だが、植原稔主監は交代すると思われる。行き先は次長経験のある沼田土木事務所長はどうか。沼田土木事務所長に着任後丸2年を迎える長沢利幸所長は残り1年であるが、砂防課配属経験から砂防課長に充て、植原主監の後任には同課の松井政浩次長を充てる。
先ほど出た砂防課長だが、砂防課に配属経験のある渋川土木事務所の三田浩所長と富岡土木事務所の砂長博所長も考えられるが、その一方で国土交通省砂防部からの招聘といった噂も。砂防課長ポストに対しては、本省から「砂防経験者を」と求められる声が多いと聞く。県土整備部長を生え抜きにするなら、砂防課長あたりは国からといった構図も成り立ちそうだ。
都市計画課だが、中島課長が建設企画課長へ横滑りした場合、先ほどの小此木所長がこちらへ回ると予想したい。
下水環境課の桑原幸治課長は着任後1年のため、留任が濃厚。
建築住宅行政のトップである建築住宅課では佐藤課長が定年退職するため、その後任には住宅政策室の金井室長の就任が確実視。新たな住宅政策室長には、建築住宅課の石山勇吉次長を充てたい。
出先だが、まだ登場していない事務所のうち、太田土木事務所には安中土木事務所長を丸2年務めた坂哲朗所長を予想したい。
渋川土木事務所の三田所長と富岡土木事務所の砂長所長は共に砂防課長の目もあるが、両名とも現事務所に着任後1年であるため、本紙では留任と予想する。
伊勢崎土木事務所には、次長経験のある建設企画課の小林功次長を充て、藤岡土木事務所長には、同じく事務所配属経験を有する監理課の清水昭芳次長はどうか。また、契約検査課で入札契約制度を所管する林洋一次長も藤岡土木事務所次長の経験を有するため、可能性は非常に高い。
中之条土木事務所は上信自動車道整備との兼ね合いから、着任後1年の小板橋信夫所長は続投となりそう。
桐生土木事務所長だが、大間々世良田線バイパスや桐生伊勢崎線阿左美工区など重要事業が控えていることもあり、藤岡土木事務所を指揮する若田部純一所長を予想。
館林土木事務所の岩下勝則所長は、着任後1年のため留任の公算が大きく、下水道総合事務所の畑武雄所長も同様に続投が濃厚だ。
八ッ場ダム水源地域対策事務所長には、配属経験を持つ都市計画課の松岡利一次長はどうか。
群馬県建設技術センターの須藤義弘事務局長は、着任後1年のため留任すると思われる。
これらのほか、所属長級である出先事務所の副所長人事だが、前橋土木事務所の松島伸明副所長は丸2年を迎えるため、高崎土木事務所あたりの異動はどうか。その異動に伴い、前橋土木事務所の副所長には契約検査課で工事検査業務を担う千吉良功次長を予想したい。太田土木事務所の舘野温良副所長は着任後1年のため、続投の可能性が高い。
下水道総合事務所の副所長には下水環境課の海老沼行雄次長を、八ッ場ダム水源地域対策事務所の副所長には道路管理課の金田一広次長をそれぞれ充てる人事はいかがか。
筆頭課であるため、所属長以外で唯一、例年予想している監理課技術次長の動向だが、着任後丸2年を迎える清水次長の栄転は確実と思われるため、後任には本庁内次長の横滑りの可能性が当然最も高い。しかし、本庁で次長を務める松岡次長、松井次長とも異なるポストへの栄転が予想されることから、その目はなさそう。となれば、桐生土木事務所の林賢司次長や高崎土木事務所榛名事業所の須田広所長らのほか、本庁の補佐クラスから選ばれることも想定されるところ。そこで、本紙は都市計画課の眞庭宣幸補佐(都市計画係長)を抜擢したい。監理課の技術次長は部内組織と技術系職員の人事を所管しつつ、県庁全体の人事を担う人事課などと折衝しなければならないポスト。そのため、良い意味で一癖も二癖もある事務系職員との調整が必要不可欠となるが、眞庭補佐は企画部の地域機関である東京事務所での職務経験を考慮すれば、まさに適任と言えるのではないか。
本年も筆者なりの予想を書いてみたが、日ごろからの取材活動から得た憶測を出ない内容であるため、他意のないことをご理解いただきたい。
それとともに福田部長、木田局長、中村課長、荒巻所長、都丸所長ら退職される皆さま方には取材を通じ大変お世話になり、改めて感謝と敬意を表したい。退職後のさらなる活躍を祈念申し上げる。