日本工業経済新聞社(山梨)
2014/03/05
【山梨】県がフレックス工期導入、除雪業者に配慮
県は、2月の記録的降雪で建設業者が除雪作業に優先的に取り組んだ影響で県工事の一部に完成遅れが見込まれるため、3月と4月に公告を行う一般競争入札について「フレックス工期」を採り入れる。通常は契約日の翌日が工事開始日だが、フレックス工期では受注者が都合に合わせて契約日翌日から60日以内で設定できる。これにより工事開始日まで技術者を配置する必要が無くなるため、技術者不足による入札不調を防止する。
フレックス工期は、3月3日から4月30日までに公告を行う一般競争入札(総合評価落札方式を含む)が対象。
今回の記録的豪雪では、県内の建設業者は3月工期末の工事を多く抱えているのも関わらず優先的に除雪作業に従事し、現在でも除雪を行っている業者も存在する。そのため履行中の工事に遅延が生じるおそれが出ている。
一方で県では3月と4月に、通常の工事に加え補正予算による工事の発注を計画。補正工事は国の経済対策(補正予算)を受けたもので、総額157億円の公共事業費を盛り込んだ2月補正予算案を編成し、県議会で審議されている。補正の工事について県では、全体の4割を3月中に発注することを目標にしており、4月に入っても準備が整った工事から発注していく方針。
そのため、除雪に従事した建設業者の技術者不足に対応するため、フレックス工期を試行することにした。
フレックス工期では、受注者は一定の期間内(60日以内)で工事開始日を選択できる。工事開始日が契約工期の開始日となるため、工事開始日までは技術者を配置する必要が無くなり、履行中の工事の技術者を新規の工事に配置することが可能になる。
例えば、履行中工事の履行確認日(検査結果通知日)が4月15日の場合、別工事を3月14日に落札し3月19日に契約した者は通常は3月20日が工事開始日となり履行中の工事の技術者を配置できない。しかし、フレックス工期の場合は3月20日から60日以内に工事開始日を設定でき、それまでの間は技術者の配置を要しないため、例えば4月21日を工事開始日とすれば履行中工事の技術者を配置できる。
これにより県では、技術者不足による入札不調を防ぐことできると期待しており、円滑な施工につなげていく。
県ではこの取り組み以外でも、入札参加機会を増やすため3月の公告(指名)案件から、県発注工事における主任技術者の兼務が可能な工事について現場相互の間隔を5q程度から10q程度に拡大。現場代理人の常駐義務緩和についても現場間隔が5q程度から10q程度へと拡大している。