建通新聞社
2014/02/28
【大阪】IR誘致へ府市タッグ 具体検討推進法待ち
大阪府は、統合型リゾート(IR)誘致に向けた取り組みで、国のIR推進法が成立次第、アウトライン検討など誘致に向けた事業費を計上する方針だ。IR誘致に向けては大阪市とともに昨年12月に準備会議を設置。府市タッグによる具体化に向けた動きが推進法の成立待ちとなっている。
関連事業費としては、府の当初予算案で2013年度当初と比べ110万円減となる211万円を計上。現段階では、府民への周知説明などの費用に限定した内容となっている。これに対して、松井一郎知事は2月25日に会見し、「推進法が成立すれば補正対応により早急に誘致関連の事業費を計上する」との考えを示した。
担当課では、事業費が計上されれば、大まかな方向性や概要などアウトラインの検討を進めるほか、進出事業者を対象とした意向調査、市場調査を実施。民間の意見を踏まえながら方向性を固めたいとしている。
具体化に向けては、国などへの働き掛けや調整を府、誘致に向けたインフラ(土地造成、鉄道)整備を市が担当する。
市は、骨格編成となった当初予算での関連事業費の計上を見送っており、市長選後の本格予算編成で事業者ヒアリングや候補地の絞り込み、インフラ検討のための事業費を確保する。
IR推進法案は、成立から1年以内に政府が施設整備のための実施法(IR法)を定めることを義務付けている。仮に14年度早期に推進法が成立した場合、14年度はIR法施行前年に当たり、誘致を目指す自治体にとって、国からの区域指定を受ける上で、事業内容を固めるなど正念場の1年となる。
区域指定は、IR法施行後となるため早くても15年度。候補地については、ベイエリアを想定しており、中でも夢洲地区が最適とみられる。
誘致に向けては、大阪のほか、東京、沖縄、長崎、北海道、宮崎なども区域指定を目指しているが、府の担当者は、「大阪は、京都、神戸、奈良といった海外からの旅行者に人気のスポットを日帰り圏内に持っており、地理的にIR誘致に適している」と分析。
併せて、「インテックスや国際会議場なども古くなっており、新たなMICE(会議、見本市などのビジネスイベント)施設が必要になっていることも確か。事業全体の絵を描きながら、法案整備に向けて国との調整に力を入れたい」と話す。
IRは、全体面積のわずか3〜5%にすぎないカジノ部門が事業全体の50〜80%の収益を上げることで、劇場、アリーナ、国際会議場、見本市など事業採算性が不安定なエンターテインメント部門とコンベンション部門(MICE)を支える仕組み。