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日本工業経済新聞社(群馬)
2014/02/26

【群馬】12市の予算案出そろう

県内12市の新年度予算案が出そろった。全体的に前年度よりも増額となる積極型予算編成が目立ち、普通建設事業費については9市で前年度から増額となった。館林市とみどり市は、当初予算ベースでは減額となっているが、学校施設整備費を前倒しして本年度3月補正予算案に計上しており実質的には増額となった。12市合計では前年度から20%以上増えている。

安倍政権によるアベノミクス効果の影響か、国や県と同様に多くの市も積極型予算を編成した。12市全体の普通建設事業費は前年度から150億円以上の伸びを見せており、豊富な工事量が期待される。ただ、建設業界は人員不足に直面しており、発注方法などに工夫を凝らさないと入札不調が続発することも懸念される。
12市の普通建設事業費で最高額を誇るのが前橋市。229億7871万7000円を計上、200億円の大台を超えた。第五中学校校舎等改築工事、東公民館整備事業、前橋総合運動公園拡張用地購入、県受託街路事業、中心市街地活性化のための優良建築物等整備補助の増などにより、前年度から15・8%増やした。
対する高崎市も前年度から30・5%増となる194億215万7000円を計上。高崎駅西口・東口のまちづくりをはじめ、新斎場建設事業など大型プロジェクトが本格化する形で大幅増額となった。新年度は新体育館建設事業に56億2195万円を計上するなど、中心市街地への誘客を図る活性化施策を引き続き講じていく。
桐生市の普通建設事業費は、前年度から49・7%増となる38億6668万6000円となった。県企業局と共同で新里町に新規工業団地の造成を計画するほか、桐生球場施設の大規模改修を実施し、プロ野球や社会人の全国大会誘致を目指す。
伊勢崎市の普通建設事業費は4年連続で増加しており、100億円の大台を突破し126億206万円を計上した。伊勢崎駅周辺整備に15億円超を盛り込み、南口駅前広場の整備に併せ、民間開発による駅前商業施設内に公共スペースを開設し市街地の活性化や都市機能の向上を図る。教育施設の耐震化にも10億円超を措置した。
太田市には新市民会館建設という目玉事業が控えている。総事業費約50億円のうち、新年度には12億4449万2000円を投入。16年度内の完成を目指し着工する。太田駅の南口・北口駅前でもまちづくりを進めていく。普通建設事業費は94億5591万2000円となり、こちらも100億円の大台に届こうという勢いだ。
12市の普通建設事業費で前年度から最も高い伸び率を見せたのが沼田市。61・6%増の17億4802万2000円を計上した。市制施行60周年という節目の年でもあり、学校施設の耐震化に重点を置いており、小中学校の安全安心確保を図っていく。
館林市の普通建設事業費は前年度から12・5%減らしたが、これは小中学校の耐震化工事費約11億円を3月補正予算案に前倒し計上した影響が大きい。当初予算案の26億7805万5000円に11億円を足せば実質増を言うことができる。第九小屋内運動場や多々良中校舎などで工事を進めていく。
渋川市の普通建設事業費も沼田市に続く伸びを見せた。阿久津貞司市長が「合併以来最大規模の予算編成」と言うように、前年度から61%増の58億9427万円を計上。さらに小中学校の耐震化事業約10億円を3月補正予算案に前倒しするなど、実質的な伸び率はトップだ。
藤岡市の普通建設事業費も35・5%増となり、43億5718万6000を計上した。小中学校の大規模改修・増改築事業を中心に措置したほか「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産である高山社跡の保存整備事業や周辺整備事業といった特色ある取り組みも進めていく。
富岡市は現職の岡野光利市長が引退を表明しているため「骨格予算」編成となった。市債の借り入れを行っておらず、政策的経費を抑えた。新たな市長が新規事業費や政策的経費を肉付けした補正予算案を6月議会に提出することとなる。「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録が期待され、新庁舎建設などの目玉事業が控えるなど今後の動向が注目される。
安中市の普通建設事業費も増加し、72億6503万3000円を計上。一般会計予算の4分の1超を占めるなど「密度」という観点では12市でも随一。新規事業で日帰り温泉施設「峠の湯」建設に着手し、9億3888万7000円を措置。今夏の着工、来年6月のオープンを目指す。このほか、第一中学校耐震化や松井田統合保育園建設、九十九生涯学習センター建設、板鼻体育館建設など建築事業の充実が目立つ。
みどり市の普通建設事業費は前年度から14・6%減らしたが、これは教育施設への空調設備整備事業費など7億円超を3月補正予算案に前倒し計上したことによるもので、実質的には館林市と同様に前年度から増加している。小中学校、幼稚園にエアコンを整備する一方で、太陽光発電設備の設置事業を進めていく。