建通新聞社(神奈川)
2014/01/20
【神奈川】神奈川県の包括外部監査 災害拠点病院の全耐震を早急に
神奈川県の包括外部監査人(弁護士・橋本吉行氏)は、2013年度の包括外部監査契約に基づく監査結果を、県議会議長、知事、監査委員に報告した。神奈川県医療施設耐震化臨時特別基金について、「耐震基準を満たさない災害拠点病院を残していることに早急な対策を講じるべき」と指摘。神奈川県再生可能エネルギー等導入推進基金で実施する再生可能エネルギー等導入事業の公募型プロポーザルの審査に、外部の専門家を加えるべきとした。
神奈川県医療施設耐震化臨時特別基金による耐震化整備事業は、災害拠点病院、救命救急センターを有する医療機関と第二次救急医療機関を対象にしている。県内には、災害拠点病院が33あり、そのうち16は救命救急センターに指定されている。
厚生労働省の調査では、12年9月1日調査時点で一部の建物に耐震性がない災害拠点病院が7カ所、建物の耐震性が不明な災害拠点病院が2カ所存在するとされる。
これに対して、「一部の建物に耐震性がない災害拠点病院」のうち、神奈川県医療施設耐震化臨時特別基金で耐震化整備を行っているものが2カ所(南共済病院、平塚市民病院)あるほか、基金事業以外で建て替えを予定しているものが1カ所ある。また、再調査で耐震性があると判断されたものが1カ所(聖マリアンナ医科大学付属病院)ある。
つまり、一部の建物に耐震性がないことが判明している災害拠点病院7カ所のうち、基金によっても耐震化整備を行わない災害拠点病院が3カ所残存することになる(ただし、1カ所は17年度までに耐震工事を終了させるとしている)。また、建物の耐震性が不明なままに残されている災害拠点病院が1カ所ある(1カ所は13年度までに耐震化)。
監査結果では、神奈川県医療施設耐震化臨時特別基金があるにもかかわらず、耐震性のない災害拠点病院が残存する問題を指摘。「すでに指定されている災害拠点病院の指定を解除しないのであれば、一部の建物に耐震性のない災害拠点病院、耐震性の不明な災害拠点病院の耐震化について、県は早急に実現を図る必要がある」と意見した。
災害拠点病院の耐震化については、聖マリアンナ医科大学付属病院を例に取り、複数基金の有効活用を意見。
同病院は、12年度内に神奈川県医療施設耐震化臨時特別基金の補助により耐震整備を予定していたが、国が定めた管理運営要領に合致せず、県が「神奈川県地域医療再生臨時特例基金」の交付金を利用して耐震化整備を補助することがいったん決まった。再調査により、耐震性のIs値が0・6以上あることが判明したため、耐震化整備は中止となったものの、県の工夫により複数の基金を有効に利用して事業の財源を確保しようとした好例と評価した。
神奈川県再生可能エネルギー等導入推進基金による公共施設再生可能エネルギー等導入事業では、県立横須賀工業高校への設備導入に際して実施した公募型プロポーザルについて指摘。審査会の構成員が全員県の職員であることが問題として、審査委員に外部の専門家を加えることを求めた。