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日本工業経済新聞社(群馬)
2014/01/07

【群馬】福田和明・県県土整備部長新春インタビュー

昨年末の建設業界をめぐる情勢を振り返ると、国土強靭化法、南海トラフ法、首都直下法の3法が成立するなど、業界にとっては今後の追い風となりそうな重要な動きが見られた。来年度の政府予算案においても公共事業費は前年度比から増額となり、インフラ老朽化対策や事前防災対策を強化する方針が打ち出されている。一方で4月には消費増税を控えている。駆け込み需要の終了に伴い、情勢が急激に変化する可能性も残しており、先を見通しにくい状況だ。こうした過渡期とも言える中、前任の笹森秀樹氏の退職に伴い、福田和明氏が新たな県土整備部長に就任した。これまで県土整備部技監や道路整備課長といった要職を歴任してきただけに、県内の社会基盤整備事情に明るい。来年度の県内情勢の見通しを中心に話を聞いた。

−県土整備部では技術者不足などによる不調・不落の多発を受けて、本年度末までの時限措置として建築一式工事に限り5q以内にある主任技術者などの専任を特例的に緩和する
福田 今聞いている範囲内では、3月になれば消費増税の駆け込み需要が終わるので、それ以降は大丈夫だとうかがっている。今後の工事発注にあたって、業界との意見交換や企業アンケートを実施し、それを踏まえてこのような緩和措置を講じた。以前からも技術者不足の声が聞こえていた。3月31日で緩和措置は終わるが、業界側から(継続を要望する)声が出てくればそこで対応を考えていく。

−政府の当初予算案が発表された。本県にはどのような影響を与えるか
福田 2014年度の国の公共事業関係費は前年度比で実質1・9%増。微増ではあるが対前年度比で伸びることは悪いことではない。全体の事業費は1・9%増だが、上信自動車道にかかわる補助事業の「地域高規格道路等」は5・0%も全体枠が増えた。上信自動車道整備が大きく進むことが期待できる。社会資本総合整備事業も2・4%増えた。上信以外のほかの道路や河川整備についても、本年度以上に進むことが期待できる。13年度補正もあるので整備が切れ目なく着実に進むのは間違いない。また、(群馬県は台風災害を受けた)伊豆大島と同じような地質であるため、土砂災害を踏まえた緊急対策も必要と考える。

−9月には東毛広域幹線道路が全線開通する
福田 東毛広幹道の開通は悲願。東毛地域と伊勢崎市における11年の製造品出荷額の合計は4兆6214億円で、横浜市(市町村別で全国2位の4兆4060億円)を超える規模。群馬県全体が7兆3833億円となっており、その63%にあたる。その地域が結ばれることになる。特に流通業界は待っているのではないか。東毛広幹道が先行していたが、7軸整備を切れ目なく実施していく。

−八ッ場ダムには99億円が計上された
福田 知事も仰っているように早くしてほしい。今までの5年間が何だったのか。よく言われているが、まずは急いでいただきたい。

−昇進が決まったときの心境は。また、来年度の部内人事について後任の部長や技監はどうなるか
福田 安心して仕事ができ、経営を続けられる環境を整備していくことが重要。身の引き締まる思いでプレッシャーも感じるが、わたしがすべての仕事をするわけではなく、各課長がフォローしてくれるので仕事面の不安は一切ない。これまでも県土整備部は「安全・安心で活力ある県土づくり」に向けて、全員で知恵を出し合いながら各課題に対応してきた。今後も今まで以上に部が一丸となって、群馬がはばたくための社会基盤整備に全力で取り組んでいく。部内の人員はみんな実力がある。後任(の部長や技監)についても実力のある人が就任すると思うし、その人も不安はないと思う。安心して卒業していけるし、まったく心配していない。今後もチームとして県土整備部一丸となってやってもらえればと思う。

−業界への要望は
福田 (行政と業界は)車の両輪のようにスクラムを組んでやってきた。以前から言っているように大事なパートナー。業界の皆さまのおかげで1・5倍の予算をしっかりと執行できた。いくら机上でプランを練っても業界の皆さまがいなければ、あそこまでうまく進まなかった。きちんと発注計画通りに進められた。何も注文することはない。