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日本工業経済新聞社(群馬)
2013/12/27

【群馬】前橋市が臨江閣の大改修を来年度から2カ年で着手

 前橋市は、大手町3丁目地内にある市指定の重要文化財である臨江閣別館の「平成の大修理」を、来年度下期の工事発注を目指している。2014年12月市議会へ工事請負契約の締結議案を上程できるよう進めたい考えで、現在は大修理の工事方法などを検討している段階。

 臨江閣は、県指定の重要文化財である本館および茶室、市指定の重要文化財である別館の3棟に分かれており、このうち再整備の対象となるのは別館。本年度は、大修理へ向けて景観建築研究機構(前橋市)が実施設計を2014年3月中旬までの履行期限で作成している。同年2月には臨江閣整備活用検討委員会を開き、工事方法などの最終的な意志決定をする予定。14年度に入ったのち、上期中に積算業務を進め、下期に工事発注し、2カ年で工事を進める。
 現在、別館では耐震性や雨漏りなどの問題があるとともに、快適性の追求、臨江閣南側に隣接する前橋公園との一体利用という課題も生じている。これらの解消を目指し、耐震補強工事では歴史的景観を損なわないよう外観はそのまま残し、文化財の価値が薄れることのないように耐震補強工事を実施する。冷暖房機の導入も同様に、文化財価値の維持を前提に設置する。また、付属屋を併設してIHや深夜電力を利用した簡易な厨房設備の設置も検討する。館内のバリアフリー化も検討し、快適な利用環境の創出に努める。さらに、屋根の改修では、仮設覆屋で屋根全面を覆い、泥を用いた既存の土居葺き屋根を桟瓦葺きへと葺き替える予定。また、前橋公園との一体利用へ向けては、公園との連絡通路も検討している。
 保存活用基本計画で示された工事概算は屋根葺き替えと耐震工事で2億5000万円程度となっている。
 大修理対象の別館は、貴賓間として1910年(明治43年)に建設されたW造2階建て、延べ床面積1001・02u。建物は入り母屋造り、桟瓦葺き、書院風建築で、築後103年が経過しているが、大規模な改修は施されていない。近年では雨漏りが頻発し、躯体構造への影響が懸念されていることに加え、東日本大震災を受け、安全・安心で良好な状態での保存継承を行っていくため、抜本的な施設の保存整備、利用計画を策定し、修理活用事業に着手することとなった。