建通新聞社(神奈川)
2013/12/24
【神奈川】神奈川県教育局 県立美術館鎌倉本館の保存問題 14年度までに方向性
神奈川県教育局は、県立美術館鎌倉本館の建物保存問題について、2014年度中に取り扱いの方向性を示す予定だ。同美術館は鶴岡八幡宮の敷地内にあり、土地の貸借契約が2016年3月31日で切れる。県は契約を更新しない方針で、同日での閉館が決まる見通し。設計団体などは、「日本を代表する近代建築」として、建物の活用と景観保全を要望している。
鎌倉館の所在地は、鎌倉市雪ノ下2ノ1ノ53で、敷地面積4243平方b。建物は鉄骨造2階建て延べ2435平方b。1951年の完成。建築家、坂倉準三の代表作。土地は鶴岡八幡宮からの借地で、美術館設立当初から、土地の貸借期間は2016年3月31日までとし、返還時には更地にすることが契約書に明記された。
また、鎌倉市教育委員会は1988年の保存計画を策定。この中で、「史跡として重要不可欠なもの以外は認めない」としており、美術館として改修することは難しい。県の緊急財政対策でも、「県立近代美術館3館の集約化」がうたわれ、鎌倉館は15年度末に廃止し、機能を葉山館と鎌倉別館に集約する方針となっている。
一方、日本建築家協会は、県に建物の活用と景観保全を求める要望書を提出している。「モダニズムの代表的建築物と歴史的景観の組み合わせ、たたずまいは、国内では類を見ず重要なもの」と説明。現在の技術で建物の維持、活用は可能で、それを行う価値がある建築資産だとし、建物の活用などを求めている。
教育局は、「現在、借地契約期間満了後の建物取扱いについて、常が岡八幡宮側と話し合いを行っている」とする。
八幡宮側が建物の再利用を決めても、利用目的に合わせた改修費用をどこが負担するなどの問題が残る。合意形成までの課題は多そうだ。