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建通新聞社(中部)
2013/12/24

【愛知】避難施設の確保急務 東海ネーデルランドの想定

 東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会が19日に開いた作業部会で、大規模台風に襲われた場合の広域避難者数を35万人と設定したところ、避難先の自治体の受け入れ施設が数万人規模で不足することが分かった。協議会は、避難先の確保とともに、早期に避難に入れる体制や気運の構築が大きな課題になるとした。
 同協議会は、国土交通省中部地方整備局をはじめ、中部地域の国の機関や地方自治体、インフラ事業者などで構成している。日本有数の海抜ゼロb地帯を抱える中部地域を対象に、大規模な水害対策を広域的に検討するための場となっている。観測史上最大級の台風が伊勢湾と同じルートを通る想定の下、2008年に危機管理行動計画を策定した。
 現在、同協議会は、行動計画をさらに具体化するため、広域避難計画の策定に向けた検討を進めている。今回の作業部会では、避難が必要な人数を35万人と想定。避難経路や避難時間を試算した。さまざまな交通機関を使い、低平地から付近の比較的標高の高い自治体に避難することを想定した場合、数万人単位の人数が公共施設や公園などの避難施設に入れない可能性があることが分かった。
 今回の想定で使用した避難者数35万人という数字は、低平地で生活する90万人の地域人口のうち、高潮による想定浸水深や建築物の高さなどから仮に設定した。大規模台風に伴う高潮により堤防が決壊し、名古屋市南部や海部津島地域などが広範囲に浸水すると想定した。
 被災前の避難とともに課題になるのが、被災後の強制排水などの活動だ。堤防の仮締め切りを行い、排水機場・ポンプ車を総動員しても、排水が完了するまで2週間はかかると見られる。
 事務局を務める中部地整水災害予報センターは、今回提示された課題を踏まえ、14年2月に開く次回作業部会までに、対応の論点整理を進める。