日本工業経済新聞社(群馬)
2013/12/02
【群馬】3月末まで県建築一式の主任技術者兼務容認へ
技術者不足や建築工事での不調・不落の多発などを受け、県県土整備部が建築一式工事に限り、建設業法で規定されている主任技術者などの専任を来年3月末まで特例的に緩和することが分かった。これは、9月定例会後期議会の一般質問で、橋爪洋介議員(自由民主党)の質問に対し、福田和明県土整備部長が回答したもの。緩和措置は建築住宅課発注工事が対象で、5q以内にある建築一式工事相互の現場を認める方針。今後、兼務できる現場件数や適用日などの詳細を詰めていく。
所管する県建設企画課によると、建築工事については消費税の引き上げに伴った民間工事の駆け込み需要増を受けた技術者および現場代理人の不足、さらには市場価格との乖離を要因とする建築工事での不調・不落入札の増加などを踏まえ、建築住宅課が発注する建築一式工事のみ主任技術者などの専任規定を緩和することとした。
建築一式の場合、建設業法で規定されているのは5000万円以上の工事(土木は2500万円以上の工事)で、緩和措置は来年3月末までの特例となり、5q以内の建築工事相互の現場で主任技術者などの兼務を認めるという。適用日や現場数については今後詳細を詰めていくが、国では土木、建築とも5q以内の2現場まで兼務可能となっている。
県では、11月中旬に群馬県建設業協会の会員を対象としたアンケートを実施。土木工事に関しては現場が最盛期を迎えていることもあり、アンケート実施企業279社の6割以上から「主任技術者が不足している」との回答があったものの、今後の対応について聞くと、6割以上が「対応可能」といった結果だった。
この結果を踏まえ、建設企画課では土木工事の下期発注方針に◇発注の平準化◇工事ロットの大型化◇月別単価調査および改定−を引き続き実施するほか、市場で不足気味の専門工事業者が必要となる橋梁補修工事や交通安全工事、法面工事などでは、より一層の発注の平準化に努めていく。
その一方、建築工事へのアンケート(同協会12支部の建築技術部会員が対象)をみると、主任技術者の現状に対して9割以上が「不足している」と回答し、今後の発注への対応についても約6割が「対応困難」との厳しい結果だった。
建築工事では基礎単価、物価資料などに設定されていない単価が比較的多く、そういった単価の設定にあたっては、その都度見積もりを実施している現状にある。
そのため、建設企画課では建築工事の下期発注方針として主任技術者などの専任規定の緩和以外にも市場価格に柔軟に対応するため、設計単価の根拠となる見積もりの調査時期をできる限り発注直前に行い、調査対象もより現実的な企業をターゲットに実施するという。また、市場で手に入りやすい同等品の取り扱いも検討するという。さらに小規模な維持修繕工事などの合併発注を行うほか、歩掛への補正、施工条件を配慮した補正率の見直しも行う予定。加えて、小規模工事や改修工事の応札者が適正に見積もりができるよう、開札前の施工条件明示書の中に施工条件や工事内容をより一層明示する。
なお、建設資材不足について、業界へのアンケート結果からは建設資材メーカーの生産力不足よりも、工事現場への運搬車両不足による建設資材の調達不足が発生しているようで、一部の現場からアスファルト合材や生コンといった基礎材料不足を訴える声が挙がっているようす。そのため、県では改めて実態調査を実施する方針だ。