静岡県は11月29日、第4次地震被害想定の第2次報告を発表した。ライフライン、交通施設などの被害想定結果・対応シナリオを追加し、「想定される犠牲者を今後10年間で、8割減少させる」減災目標を明記した。また、想定結果に基づいて地震・津波対策アクションプログラム2013で減災目標を設定するとともに、「大規模建築物の耐震化促進」など11項目を追加した。県では追加した対策に掛かる事業費を数十億円程度と見ている。
「駿河トラフ・南海トラフ沿いで発生する地震・津波」「相模トラフ沿いで発生する地震・津波」に分けて、レベル1、レベル2の被害を想定した。想定項目は、上下水道などのライフライン、緊急輸送路などの交通施設、産業保安施設(危険物施設)の被害、住機能などの生活支障、経済被害をまとめた。被害(機能支障)の状況と復旧までの日数予測を、ライフラインは上水道、下水道、電力、通信、ガス、交通施設などは道路、鉄道、港湾、飛行場・ヘリポートで行った。
また、アクションプログラムに追加した11項目のうち、大規模建築物の耐震化促進では改正耐震改修促進法に基づく要緊急安全確認建築物395施設の耐震診断実施率を15年度末100%を目指す。この他、特定天井を有する県有建築物25施設40室の天井落下防止対策実施率、津波浸水区域内にある県有施設の津波安全性診断(35施設)と対策の実施率は22年度末100%に目標設定。防災拠点庁舎、警察などの災害時設備機能の確保として、設備地震対策ガイドラインの改訂を13年度末までに行うとした。
発災後に災害対策用の人員・物資を運ぶことがまず大事となるため、交通施設は緊急輸送路の確保が第一に考えられた。
緊急輸送路については、「駿河トラフ・南海トラフ沿いの地震・津波」を想定したケースでは、橋梁の落橋や、断層帯がある富士地区、中部(沿岸部)地区で大きな地盤変位に伴う被害などが発生した場合、輸送可能になるまで発災から1週間以上を要する可能性がある路線など、影響度によって被害規模、復旧に要する日数目安、被害のイメージをランク分けした。橋梁の落橋・倒壊、地形の大変形などの被害で1週間以上、道路閉塞、橋梁の亀裂・損傷などで3日〜1週間、液状化被害などで当日〜3日に区分した。
交通基盤部道路局では、緊急輸送路について「沿岸部の津波による被害を想定し、多重化や新たな進入経路の追加を検証・検討するとともに、全体の災害拠点の見直しに合わせて路線の追加と修正を行っていく予定」としている。
(2013/12/2)
建通新聞社 静岡支社