北海道建設新聞社
2013/11/27
【北海道】道商連が成長戦略ビジョンの中間報告策定−食など5分野に重点
北海道商工会議所連合会は、北海道成長戦略ビジョンの中間報告書を策定した。道内経済を持続的に発展させるには「安全安心」「食」「観光」「エネルギー」「物流」―の5分野に重点を置いた施策展開が必要になると提言。農水産品の通年出荷体制の確立や富裕層向けの新たな観光サービスの提供、札幌冬季五輪招致といった取り組みを通じ、マーケット規模の縮小など将来想定されるリスクシナリオを回避する必要があるとしている。
北海道成長戦略ビジョン策定検討委員会(委員長・藤田博章苫小牧商工会議所会頭)が、全道42商工会議所へのヒアリングを経てまとめた。道商連によるこの種のビジョン策定は初めて。26日に札幌市内で開く臨時会員総会で承認を得て、来年3月末までに成案とする。
北海道は人口減少や少子高齢化が全国よりも早いペースで進み、このままではマーケット規模の縮小や企業収益の大幅減が見込まれるとの危機感から、5項目の重点分野を決めた。いずれも成長するアジア各国のマーケットの取り込みと収益性の高い産業を創出するための新たな人材の育成、そのためのインフラ整備の実現を目標としている。
具体的には、農水産品の通年出荷体制を整えるため、生産地に近い主要な場所に雪氷冷熱や太陽光、風力などの再生可能エネルギーを利用した最新の冷温倉庫を整備すべきと提言。本州との自動車物流を可能にする第2青函トンネルの整備や、東南アジア各国などの富裕層を主なターゲットとした最先端医療観光体制の確立、丘珠空港を活用した道内医療空港ネットワークの構築などの必要性にも言及している。
また、道のバックアップ拠点構想に連動した施策の推進や、日本のエネルギー供給基地としての発展を遂げるための施策の展開、北海道新幹線や高速道路など交通・物流ネットワークの早期構築を重要施策に位置付けている。札幌冬季五輪に関しては、新幹線に続く道内経済活性化の第2弾との位置付けで、オール北海道による招致の取り組みが求められるとしている。
成長戦略を実行することにより道商連は、輸出量の増加と収益の向上を図り、結果として道内総生産を押し上げ域際収支の黒字化することを目指す。今後、ビジョンの推進母体となる北海道創生委員会(仮称)を設立し、それぞれの施策を実行に移していく。