北海道建設新聞社
2013/11/21
【北海道】旭川市が耐震診断に補助検討−民間の大規模建築物対象
25日に改正耐震改修促進法が施行される。旭川市は、耐震診断が義務付けられる民間大規模建築物の所有者に対し、2014年度から診断費用を補助できるように制度創設を検討している。市によると対象建築物のうち10棟、延べ11万5000m²の診断が手付かず。診断費は全体で1億3000万円前後とみられる。市は補助により所有者の負担を軽減し、15年12月末までの報告期限に間に合うように促していく。
改正法により旭川市の場合、対象施設の所有者は、診断後に結果を市に報告。市はこれを用途別に分類して、内容を公表する。
市によると市内の義務化対象は中心部などにある3階、延べ5000m²以上の物販店やホテルなど16棟。このうち6棟は診断済みだが、残る10棟は期限までに診断を受けなければならない。延べ面積は大きいもので2万m²前後という。
国土交通省が改正法の説明会で参考値として示す東京都の耐震診断費用は1m²当たり600円から2000円。5000m²超の平均は同1150円前後で、これを単純に当てはめると未診断の10棟で約1億3000万円、2万m²の建物は約2300万円が必要になる計算だ。
国交省は規制強化に合わせ、診断費の3分の1を補助する直接支援のほか、地元自治体が補助制度を設けると、最大で費用の半分に国費を充てる間接補助も設けている。
市は今後、所有者に改正法を周知し診断を促す考えで、所有者の負担を6分の1程度に軽減する補助制度の設計を進めている。
改正法では自治体などが指定する避難路沿道建築物や防災拠点建築物も診断を義務化している。こちらは今後、道と市町村が対象を決める計画づくりの進行状況に合わせ、対象施設への診断支援を考えていく。
一方、今回の改正では耐震基準を満たさない建築に対する改修工事は義務付けていない。しかし性能不足が判明した場合は施設の性格上、改修や建て替え、解体などに発展する公算が大きい。工事についても国の支援メニューは用意されているが、診断費以上に巨額になる費用負担が大きな課題となりそうだ。