建通新聞社
2013/11/21
【大阪】弘済院民間移譲へ分割公募検討 大阪市
大阪市福祉局は、民間への事業継承に伴う弘済院の既存施設(付属病院、第1、2特別養護老人ホーム)と跡地の一体的な開発・再整備計画について、医療法人やデベロッパーなどを対象に市場調査を実施した結果、「事業者の一括公募は難しく、分割での開発を検討する必要がある」などの課題が出てきたことを明らかにした。併せて、分割での事業者公募となった場合、「公募時期が2014年4月以降にずれ込む可能性が高い」との見方を示した。
同計画は、16年度までの事業継承(民間移譲)を目指すとした府市統合本部の基本的方向性に基づき、弘済院の付属病院、第1、2特別養護老人ホーム、養護老人ホームの機能を民間に維持・継承し、再整備を図ろうというもの。
事業者公募へは、敷地が約13万平方bと広大でまちづくりの観点などから、病院を設置運営する医療法人、特別養護老人ホームを設置運営する社会福祉法人、土地を有効活用する開発デベロッパーの3者での一括応募(プロポーザル方式)による開発を検討してきた。
ただ、今回の市場調査で、付属病院の建て替えについて「現在の90床では採算性が合わない。最低200床は必要」という意見が大勢を占めたほか、特別養護老人ホームの運営については、重症の認知症患者が入院しており、一般の社会福祉法人では対応が困難という課題が判明。建て替えや運営面で事業手法の再検討を迫られた形だ。
担当課では、付属病院の増床について「病床数過剰とされる豊能二次医療圏に属しており、これ以上の増床は考えられない」との認識を示した。
特別養護老人ホームについては、指定管理者や独立行政法人による公的な関与を示唆。全面的な民間移譲から一歩後退する可能性も出てきた。
府市統合本部で示された各施設の基本的方向性は次の通り。
▽付属病院=直営廃止、民間移譲、既存施設は老朽化により16年度以降の建物供用が不可能▽第1特別養護老人ホーム=14年度末に指定管理期間満了、民間移譲▽第2〃=直営廃止、民間移譲▽養護老人ホーム=15年度末に廃止