建通新聞社四国
2013/11/15
【高知】高知港津波対策で三重防護が有効
国土交通省四国地方整備局高知港湾・空港整備事務所と高知県土木部は11月8日、第1回高知港における地震津波防護の対策検討会議を開催。防災、減災、早期の港湾静穏維持に向け第一線防波堤、浦戸湾外縁部・湾口部の防潮堤、浦戸湾内部護岸の3ラインでの対策による「三重防護」が有効とする基本的な考え方や2015年冬までに事業計画案をまとめることを示した今後のスケジュールなどを確認した。
高知港における地震津波防護では、発生頻度の高いL1津波に対しては、防波堤や防潮堤などの構造物により津波の浸入を防ぐ「防災」。最大クラスのL2津波に対しては、津波が施設を乗り越えた場合にも粘り強く効果を発揮する構造上の工夫を行い避難時間を稼ぐ「減災」。地震後に高知新港が防災拠点機能を発揮できるよう、極力早期に「港湾の静穏を維持すること」の3点を目標とする。
高知新港沖の第一線防波堤では、津波のエネルギーを減衰させるとともに、高知新港の静穏度を確保し港湾機能を保全させるため、防波堤の延伸や粘り強い化、嵩上げを行う。浦戸湾外縁部・湾口部の防潮堤などでは、種崎地区からの津波浸入を防ぐとともに、湾口部から湾内に浸入する津波のエネルギーを抑えるため、防波堤や防潮堤の耐震補強、液状化対策、嵩上げを行い津波の浸入・北上を抑制する。浦戸湾内部護岸などでは、護岸背後地への津波浸入や長期浸水を防ぐため、液状化対策や嵩上げを進める方針だ。
現状で大規模な地震・津波が発生した場合の被害予測は、まず高知新港沖にある第一線防波堤が倒壊し、津波は種崎地区や浦戸湾湾口を通過して浦戸湾内に浸入・北上していき、浦戸湾内部の護岸を越え、高知市中心部で津波被害が発生する。津波の襲来が収まった後も、第一線防波堤が倒壊しているため高知新港は船舶による利用に必要な静穏度が足りず港湾として使えない状態が継続する。浦戸湾内部の護岸などは、液状化によって倒壊し、地震発生直後の地盤沈降と相まって、その高さが満潮位よりも低くなる箇所が発生するため背後地の浸水は長期化する恐れがある。
そのため検討対策会議は、東南海・南海地震などによる被害の軽減対策が急がれる高知港において、多重防護の考え方の下、最大クラスの津波の襲来も想定しつつ、発生頻度の高い津波に対して港湾および背後地を効率的・効果的に防護するための対策のあり方についてまとめることを目的として設立した。座長を高知工科大学の礒部雅彦副学長とし、産学官からの有識者で構成する。
今後のスケジュールは、14年2月開催予定の第2回会議で基本計画案をとりまとめた後、同年夏の第3回会議で事業計画目標を設定、15年冬の第4回会議で事業計画案をまとめる方針。