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建通新聞社
2013/11/08

【大阪】液状化で決壊の恐れ 府域堤防延長約20`

大阪府は、南海トラフ巨大地震の第5回土木構造物耐震対策検討部会で、地震直後に液状化し決壊する可能性のある堤防が総延長約20`に及ぶことを報告。また、液状化では決壊しないものの津波により浸水する堤防が総延長約69`に達するとした。このうち、大阪市西淀川区の神崎川護岸など第一線防御ライン(水門より外側)の防潮堤約9`の液状化対策を最優先で行う考えを示した。
 今回報告された対策区間と対策効果によると、液状化と津波により浸水する恐れがある堤防の総延長は約89`。最優先で対策を行う堤防として、神崎川護岸のほか、此花区の正蓮寺川、安治川の護岸、城東区の第二寝屋川護岸が挙げられた。
 主な対策工については、鋼管矢板の打設や地盤改良を検討。全体の対策事業費には2100億円程度を概算しており、うち最優先箇所9`分については300億円程度かかる見通しだ。
 これらの対策が全て完了した場合、最悪のケースで約1万1000fとされる津波による浸水域が約5400fに半減すると推定され、府の今後の対応が急務となっている。
 今回の報告に当たっては、地震の規模をマグニチュード8クラス(L1)の東南海・南海地震とマグニチュード9(L2)の南海トラフ巨大地震の2ケースに分け、地震の揺れと液状化に対する各土木構造物の強度を調査。防潮堤・護岸以外では、尻無川水門、正蓮寺川水門、旧猪名川排水機場で部材応力が許容値を上回るため、対策が必要と判定されるなど、L1地震でも液状化などにより重大な被害が出ることが確認された。
 砂防施設については内陸直下型に対して安全だが、南海トラフでは一部地域の最大加速度が許容値を上回るため、今後の知見を待って検討する。
 府の担当部局は、「財政状況にもよるが、具体的な対策に向け改修計画の策定を急ぎたい」とした。