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建通新聞社四国
2013/11/08

【高知】壊れにくい堤防、粘り強い化を促進

 高知県土木部は11月1日、第3回高知県地震・津波防災技術検討委員会を開催。設計津波の水位の設定結果や海岸・河川堤防の今後の整備について議論した。この水位の設定結果により、堤防の高さが不足している箇所では、必要な高さの確保や液状化対策、粘り強い化などの整備を今後進める方針だ。
 設計津波の水位は、防波堤などの海岸構造物によって津波の内陸への浸入を防ぐ海岸保全施設などの整備を行う上で想定する津波であり、数十年から百数十年の頻度で発生する比較的頻度の高い津波を対象に設定。地域海岸ごとに過去に発生した津波の実績、シミュレーションによる算出などにより高さを設定した。この水位が堤防整備などの目安となる。
 対象となる地域海岸は、県内の海岸線を同一の津波外力を設定しうると判断される一連の海岸線に分割したもので、全体で59地域海岸ある。このうち、人口や経済基盤が集中し、重要インフラが立地する「南国香南地域海岸」「高知中央地域海岸」「宇佐地域海岸」の3カ所は、先行して2月の第2回委員会で設計津波の水位を設定しており、すでに十市前浜海岸と宇佐漁港海岸の2カ所の防波堤を整備するための測量設計などを進めている。
 今回の委員会では、残る56地域海岸での設計津波の水位について審議。県管理の海岸堤防延長約200`のうち、設計津波の水位に高さが不足しているのは約145`(73%)ある。全体的には、県西部へ進むほど高さが不足している傾向にある。これは、東部ではもともと台風の高潮から背後地を守るために海岸堤防が高く整備されているが、西部はリアス式地形の海岸が多く、現堤防高が東部よりおおむね低くなっているためとみられている。
 今後の海岸・河川堤防の整備に向けては、今回設定した設計津波の水位から背後地域を守るために必要な高さを確保することを目標とするが、現堤防高と設計津波の水位の差が大きい場合は、現況の堤防の液状化対策や中間的な高さで暫定的に整備することも検討する。
 耐震補強の工法は、液状化による堤体の沈下・変形を抑制する対策や堤体補強対策のほか、設計津波以上の津波が堤防を乗り越えた場合でも、堤防を壊れにくくし津波の侵入を抑える「粘り強い化」などを実施する。
 今後の海岸・河川堤防の整備方針は、人口や経済、社会インフラが集積する高知市のその周辺(香南市から土佐市宇佐町)での整備を促進し、その他の地域では、浸水区域内の人口、防災拠点、医療拠点、緊急輸送道路などの重要度についてエリアごとに検討し、順次整備を進める。