建通新聞社四国
2013/11/05
【徳島】有設計室が最優秀
美波町は10月31日、医療保健センター基本設計業務公募型プロポーザルの最優秀者を有設計室(東京都杉並区 応募者・川口有子)に特定した。11月8日に見積もり聴取を行った後、業務を契約する。設計納期は2014年3月25日を予定。14年度に実施設計に入り、14年度下期の工事発注を目指す。
最優秀案は、「防災面に配慮した開放型のピロティと中庭という明解な構成で、ピロティ部分に多目的な役割を持った活動的な場が提案されている」点などが評価された。
有設計室の提案内容は、建物が3階建て。南海トラフ地震を想定した耐震壁付きラーメン構造で、1階を開放型のピロティと中庭とし、津波襲来時には水圧を逃がす構造としている。このため主要な施設を2〜3階に配置している。津波を考慮して2階スラブは水圧が中庭に逃げる構造。2階床の外周部には、火災やがれきの衝突に耐えられるRCの腰壁を提案している。屋上は避難スペースとしており、直通する屋外階段を設けている。
設備案は、重要設備を津波浸水想定高さよりも高い3階に設置して建物の機能停止を防ぐ。非常用発電機を設けて、災害時でも医療、透析装置、照明、非常用電源コンセントに電源を供給する機能を維持する。受水槽を設置して断水時でも透析治療を可能とする。LED照明で省エネを図り、屋上には太陽光パネルの設置を検討する予定。
内部の用途案は、1階が健康と食のアンテナショップ、仮設ユニット、トイレ、ピロティ(バザーなどのイベントが可能な空間)で、中庭に2階に至るスロープを設ける。2階は多目的ホール、事務室、診療室、地域包括支援センター、相談室、トイレ、処置室、観察室、内視・X線室、検査室、リハビリコーナー、縁側ラウンジ、テラスなど。3階は更衣室、透析装置、透析室、事務室など。
町によると、概算工事費6〜8億円を想定。コスト縮減方法について今後、検討する方針。駐車場約50台、駐輪場約30台。建設地は奥河内字井ノ上13ノ2(旧日和佐高校跡地)。敷地面積5880平方b(周辺の利用計画検討面積約3万平方b)。完成は、移転改築する町立病院と同じ16年4月を目指している。
今回のプロポーザルの次点(優秀者)はkwhgアーキテクツ(東京都)だった。