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建通新聞社(静岡)
2013/10/21

【静岡】県の清水海岸侵食対策検討委 三保松原の対策工法「L字型突堤が有効」

 三保松原の海岸保全と景観改善を検討するため、16日に静岡県の清水海岸侵食対策検討委員会(委員長・杉本隆成東京大学名誉教授)の本年度初会合が開かれた。県がピックアップした対策工法を基に、20年後の汀線位置をシミュレーションした結果を示し、推奨する工法について意見交換した。最終的な絞り込みまでは至らなかったが、現在の消波堤に代わる工法として「L字型突堤が有効」とする意見が多く出された。
 富士山世界文化遺産の構成資産として景観改善が必要となった三保松原(静岡市清水区)については、消波堤の代替施設の工法を本年度内に決める予定で検討を進めている。9月10日には第1回三保松原白砂青松保全技術会議が開かれ、県が景観改善の一般的な対策として八つの工法を示し、消波堤の代替施設について単独工法での対応は難しく、複数の工法を組み合わせることの必要性が指摘された。
 今回、県が示したシミュレーションでは、消波堤を撤去してL字型突堤を整備した場合、1号消波堤〜3号間で砂が堆積するが、3・4号の下手で浜の侵食が進行し、汀線形状が現状に比べて不連続となる結果となった。しかし、現状の消波堤を残すケースと比べて大きな変化はないと分析している。
 この他、消波堤切下げ、新型離岸堤、人工リーフをシミュレーションしたが、L字型突堤以外の工法に有効性を認める意見はなかった。
 また、対策工法検討に際して「現在の汀線は消波堤が設置された条件に応じ、安定した姿になっている。また、(施設改良に当たって)L字突堤の上手側からの沿岸漂砂(養浜工)とサンドリサイクル養浜による砂供給が絶対条件」と、養浜工による砂供給の継続・拡大の必要性を指摘する意見も出された。
 今後は、今回の侵食対策検討委員会の検証を踏まえて、具体的対策案を設定し、海浜変形シミュレーションを再度行う。14年1月開催予定の第2回保全技術会議、2月予定の侵食対策検討委員会に対策案を提示し、本年度内の対策決定を目指す。
(2013/10/21)

建通新聞社 静岡支社