日本工業経済新聞社(群馬)
2013/10/17
【群馬】県県土整備部が上期の発注平準化を実現
県建設企画課は、本年度上期における県県土整備部の業務委託と工事の発注実績をまとめた。同部では大型補正予算などへの対応も含めて昨年度に引き続き、発注の平準化に努めており、ほぼ平準化を達成した格好。2011年度までは、上期発注率の目標設定から8月から9月にかけて発注率が急上昇していた。なお、9月末での発注率は75・8%で、累計発注額は約548億円だった。
同部では昨年度に引き続いて発注の平準化に取り組んでおり、2月時点では昨年度からの繰り越し、昨年度の大型補正予算分、ゼロ県債分を合算した22・4%の発注率からスタート。その後、順調に発注を進め◇3月は6・6%◇4月は6・2%◇5月は6・6%◇6月は8・0%◇7月は7・9%◇8月は8・6%◇9月は9・4%−といった発注率だった。9月末までの発注率は75・8%となっている。
他方、発注額をみると、2月時点の約162億円から◇3月に約48億円◇4月に約45億円◇5月に約48億円◇6月に約58億円◇7月に約57億円◇8月に約62億円◇9月に約68億円−を執行、9月末までの累計発注額は約548億円に上った。
本年度における県の公共事業予算は昨年度の大型補正予算などを合わせ、1・5倍となる約1200億円を計上。このうち、同部へは約1000億円が配分された。県建設企画課によれば、この約1000億円のうち、用地費や補償費などを除いた業務委託費と工事費の総額は約720〜730億円だという。
発注の平準化については業界からも強い要望が出されており、同部では昨年度から柱の施策の1つとして取り組んできたが、本年度は大型補正予算の執行との兼ね合いもあり、発注の平準化とともに、工事ロットの大型化、さらには設計価格2000万円未満の土木一式工事の受注を主とするB、C等級企業への工事量の確保にも努めてきたところ。
これらの施策に対し、業界からも高い評価を受けており、本年度の群馬県建設業協会各支部との意見交換の場でも評価する声が多かったそうで、また、昨年度比1・5倍もの工事発注量の実感を口にする企業もあったという。
工事ロットの大型化については、比較的規模の大きい1億円未満の工事を対象に平均して1・3倍の工事規模に拡充させ、例年以上の工事量をスムーズに執行。これによって発注の集中を回避するとともに、発注機関と受注者の業務軽減につながっているほか、主任技術者の専任要件も緩和することなく対応できているという。
一方、B、C等級企業への工事量についても、件数で前年度比1・3倍となる513件を発注、金額ベースでも1・2倍の約36億円を執行している。現在の発注計画のまま推移した場合、年度末までに件数が1・6倍の772件、金額で1・7倍の約61億円を見込んでいる。この等級が主に受注する設計価格2000万円未満の工事は主任技術者の専任を必要としない工事であり、同課では受注者数が十分確保されているランクと考え、発注量と件数を最大限確保することで対応している。
同課の倉嶋敬明課長は、本紙の取材に対し「発注の平準化を実現できたのは、笹森秀樹県土整備部長の強いリーダーシップが大前提だが、県土整備プランの計画がしっかり仕上がっていたこと、発注機関職員による用地や測量設計といった下準備が何より。前年度比1・5倍もの予算と言われているが、主任技術者の専任要件を緩和しても限られた人員の中で工事数が増えるだけであり、受発注者とも忙しい思いをするだけ。そういった意味では発注の平準化、ロットの大型化は効率の良い発注方式と考えており、発注機関における人員の有効活用、さらには業界からの要望にもしっかりと応えられているのでは」と話している。