日本工業経済新聞社(茨城)
2013/10/12
【茨城】県議会一般質問 医師養成センター設置を 新中核病院建設見通し
初日の一般質問には、常井洋治氏(自民)、鈴木聡氏(共産)、先ア光氏(自民)の3人が登壇。常井氏は、県立中央病院の建て替えに併せて県立3病院を1カ所にまとめ畜産試験場跡地に移転し、医師養成センターとして設置する構想を提案。鈴木氏は、筑西市と桜川市で話し合われている新中核病院建設の見通しについて見解を求め、橋本昌知事は合意形成され整備の具体的な方向がまとまった段階で地域医療再生計画の期間延長を国に働きかける考えを示した。また先ア氏が消防救急無線、指令センターの共同整備について質疑し、知事は不参加の消防本部へ働きかけを継続するほか、単独整備と共同整備の相互に接続する技術的な方法も検討する考えを示した。
主な質問および答弁は次のとおり。
常井洋治議員
【畜産試験場跡地への医科大学誘致の方針】
橋本昌知事 昨年県議会で誘致決議のあった早稲田大学に限らず、医学部新設に前向きな複数の大学と意見交換を行ってきた。また本年度策定の第6次県保健医療計画で医学部新設などに関する規制緩和を求めることを位置づけ、さらなる要望活動を展開している。
一方、国は2010年度に有資格者で構成する検討会を設置したものの、議論が停止し見通しが立たない状況。
しかし、医科大学の誘致方針や重要性の認識は変わっていない。今後も全力を尽くしてまいりたい。なお畜産試験場跡地の利用は地元市の意向も踏まえながら、医科大学誘致のとらわれず検討したい。
【県立中央病院建替えと医師養成センター構想】
橋本知事 議員から、県立中央病院の建て替えに併せて県立3病院を1カ所にまとめ畜産試験場跡地に移転し、医師養成センターとして設置する構想を提案いただいた。
提案については、例えばこども病院に関して、これまで水戸済生会総合病院と一体となって円滑に運営している総合周産期母子医療センターをどうするか、また中央病院は救急・循環器センターをはじめ最近整備した多くの施設があること、さらに厳しい財政で全体整備に要する莫大な規模をどう確保するかなど、課題がある。
県としては、どのような形が望ましいか、中央病院やこども病院の経営動向、主要施設の耐用年数などもにらみながら、中長期的な視点で検討してまいりたい。
【旧筑波海軍航空隊本部棟などの保存と資料館活用】
橋本知事 いくつか利用案があったが耐震診断や設備の設置経費などの課題で見送られた経緯がある。そのため旧本部棟敷地の利用構想が決定し新たな用途に供されるまで適切に管理しながら、フィルムコミッションなどの臨時的な使用に応じるとともに、設備経費、管理経費の負担をしても活用したいという団体があれば対応してまいりたい。
鈴木聡議員
【学校耐震化】
橋本知事 市町村への学校耐震化の財政支援だが、国で2015年度まで補助率の嵩上げがなされ、Is値0・3未満の建物は3分の2、0・3以上は2分の1になっている。また地方債も充当率100%、交付税算入率80%に充当され、市町村の実質負担はIs値0・3未満が6・7%、0・3以上も10%と手厚い助成。
県独自の財政支援が必要との指摘だが、国の補助制度が手薄な県立高校が耐震化されていない建物が相当数残っていることや、県と市町村の役割分担などを考えると、県独自の財政支援は考えていない。
【新中核病院建設の見通し】
橋本知事 筑西市と桜川市の両市では、再編統合の枠組みや新病院の建設場所などについて依然として意見が分かれている状況。誠意を持って協議を進めるよう助言しているが進展していない。ただ深刻な状況であることから、互いが腹を割って話していくことが大変重要。議員にも地元が合意を見出していく方向付けに向けた活動をお願いしたい。
合意形成が図られ、整備の具体的な方向がまとまった場合、地域医療再生計画の期間延長を国に強く働きかけてまいりたい。
先ア光議員
【消防救急無線、指令センターの共同整備】
橋本知事 ことし4月1日に21消防本部の34市町で構成する「茨城消防救急無線・指令センター運営協議会」が発足し、2016年6月供用に向け整備に着手した。しかし県内25消防本部のうち4消防本部が協議会に参加せず単独整備する意向。
単独整備の消防本部は大規模災害などで携帯電話が通じない時、管轄外へ出た消防救急車両や防災ヘリ、ドクターヘリとの通信が確保されない可能性などもあり、救急搬送や応援を求める際に支障が生じるおそれがある。
このため協議会への参加を働きかけるとともに、単独整備と共同整備の消防救急無線を相互に接続する技術的な方法なども検討する。